第86章 紡ぎ
『愛情を向けるべき相手を見誤るな――始祖神
お前のしてきたこと等、全て無駄だったのだよ
忘れるな
その優しさを啄み、利用し、笑い、殺してきた癌を
思い出せ――最初に聞いた愚かな癌等の笑い声を
お前の優しさは、腐敗を招く
腐敗の温床となりて、手助けとなりて、加担ではないまでも…自分を、己が身を殺すだろう』
ケイト「何か…手立ては…ないのか!」わなわな拳握り震え
『ない!』どんっ!見開き
ケイト「!!」瞠目震え
『不可能であることはこれまでも実証済み
それで何があった?
ん?
人の本質は変わらない
誰もお前の犠牲等、毛ほどの価値もないとしか思わんし、思ってはおらん
何をした所で無駄だ
諦めろ
全てが潰える先は、何も変わらない』
ケイト「…(ぎゅ)←拳を握る震え
それでも…
(瞑目)
…(ぐっ!)←拳を握り直し震えが止まる
それでも……(真剣)
諦めない」
『何だと』
ケイト「諦め…たくない
俺の大事な人達がいるから
その人達だけは、違ったから
その人達だけは、見捨てたくない!!
諦めるさ、その人達以外は!
大事にしてくれた人達、愛してくれた人達、俺の為に俺が利用され続けることに怒ってくれた人達…皆、忘れない
大事な人達だ、皆俺にとって掛け替えのない人達だ
都合よく利用されたって構わない、笑われたって構わない
俺は…俺は……!
大好きな皆だから、頑張りたいんだよ
そうでない人達なんて、どうだっていいんだ!!
粗末に扱ってくる人達なんか、大事な人達を殺した人達なんか、どうだっていい
俺は…!!
うまく、言葉では言えないけれど…
皆、繋がってるから…大事にしたいんだ
それだけなんだよ
馬鹿みたいな理由かもしれない
それでも……
それでも……同じ心を持った『人』だから
痛みを感じる、怒りを感じる、苦しくもなる、悲しくもなる
だから…出来ることなら味あわせたくない
誰が誰にとっての大事な人なのかもわからない
だから無作為に大事にしてるだけだ
自分にとっての価値が、全員にとっての価値なんかじゃないことぐらい、わかりきってることだから
価値なんかじゃない
無駄なんかじゃない
無駄にしていいものなんかない
だから戦うんだ
消える最期の瞬間まで!
ありったけ、全てを込めて!!(ぐぐぐっ!)←涙が流れ落ちる
それが…俺の生きる道だから!!」真剣睨視
