第86章 紡ぎ
直方体の壁で囲まれた中、洞窟の突き当たりにあたる場所にて煌々と輝き続けていた
ケイト「リヴェリア…これ…もしかしたら」
リヴェリア「触れればわかる
ケイト…呼ばれたのはお前だ
触れろ」
ケイト「………わかった」
すっと触れると
原初の(以下略)世界神『エルフは過ちを犯した』
ラーファル王「過ち…?」
なんだとと顔を顰める
重々しく響く思念に…
世界神『当時、世界樹を任せていたのはエルフだった
その実によって叡智を身に付け、寿命も守り人としてが故に伸び、魔力も精霊並みとなった
しかし…世界樹を任せた時にした神々からの言いつけを破り、乱用し出した
我欲に染まり、好き放題に力を使ったことにより、世界樹が穢れた
それを受けて、草木は枯れ、世界樹も枯れ掛けた
だから…世界樹を、自然から生まれた精霊ではなく、神々の分身である精霊達に命じて奪い、場所を移した
元あった場所へと返せと求められたが、実を食べ続けなければ力が消えるからに他ならなかった
しかし…罰は受けねばならない
だが反発して力を行使してでも奪おうとした
我々は焼き払った、世界樹にまつわる全てを――存在したという痕跡ごと
エルフの欲は肥大化し、大地を汚染した
しかし罰される謂れはないという
それが傲りだというのだ
罪の名は、傲り故の尊大
我々は世界樹が元あった場所に祠を作り、埋め立てて時を待った
お前が訪れる時まで――
始祖神よ――我々はエルフから奪った
与えた権能も、世界樹にまつわる全てを…
残ったのは長い寿命と高い魔力、本来の力からすれば残りカス程度のみに留めた
再び与える訳にはいかん
だが…ここに辿り着けたということは、十分に罰を受け役目を果たしたと言える
神祖よ…我等が母よ……
この力を、どうか授けてやっておくれ――
世界神に――
世界樹とは、世界神のもの…この星が、世界が生まれた折、癌が生まれることを察してここを中心点として定めた…その証を……ここに………』
宙に浮かんだ神字が自らの意思で飛び、リヴェリアの胸に宿った
宿った力は――
リヴェリア「降誕…?」
世界神『感謝する…
長き約束を果たしたこと
今この時へ繋いでくれたこと…
森をここまで再生できたのは…お前達の献身、生き様だ
生きた証を…これからも引き継いでゆけ
決して……なくすな』