第15章 人造迷宮
ヘル・フィネガスと共に魔力強化を伴ったフィンの動きは、血の魔力でさらに強化されたレヴィスに通用していた。
が、その代償は大きく…ケイトの背の塞がらない傷は、肺にも達していた。
ケイト「私を…置いていけ。精霊寵愛でも塞がらないってことは…魔力をも」
ぺちっ
ケイト「あたっ;」
リヴェリア「置いていけるか」
ケイト「でも…私の血、には…魔力があるせいで引き寄せ」
ベート「ざけたこと言ってる余裕あんならできることやれ!!」げしっ!←モンスターを蹴り殺し中
ケイト「…っ」
ラウル「ポーションを
ケイト「無駄だ!使うな!!(ごぽっ)
げふっごふっ…
呪詛(アンチ、カーズ)だ。力が…使えない!」
『!』
ケイト「魔力も魔法も出せないのが証拠だ。
解呪して…から…じゃないと、無理だ」
眉間に皺を寄せたまま辛うじて声に出す中、血が口から出てきた。
肺にまで達した傷、それが塞がることはなかった。
精霊寵愛の力を以ってしても、塞がらないほどの呪詛。
ラウル「解呪薬!」
そんな叫び声が響くも持ってないものは出せず、一抹の不安がよぎる。
トランプで言う所のジョーカーが倒れたと…
でも私が思うに、フィンが倒れたそれよりも士気は落ちてないはずだ。
ラウル「くっ。何で不壊属性が!」
リヴェリア「恐らく折り重なった繊維でも千切れるほど強烈な力がかけられたのだろう。
オッタルの時のように。
それだけじゃない。この傷は治癒魔法も受け付けない。
今はこの傷をどう塞ぐかだ」
アリシア「傷が肺まで!」
ナルヴィ「そうだ!傷口ごと凍らせれば!」
リヴェリア「今できる手法はそれしかなさそうだな」
ケイト『一番凄い呪詛の威力のものとちょっとだけやってみたんだけど、最後の最後で悪あがきをしてきて…
しかも自分の魔力の性質は正反対の浄化みたいでね、最終的に逆に強まっちゃうことがあったんだ。
あの時は道具と併用で何とかなったけど、周囲から魔力を借りなきゃ危なかったなあ~;』←362ページ参照
本当の本当にやばい;
刃で斬られた瞬間から冷たい感覚が傷口から全身へ拡がっていた。
それに体内の魔力を操作して押し返して解呪しようと試みるも、それが成功しても最後の最後で押し返される。
早い話が消しても消してもキリがない、『いたちごっこ』だった――