第15章 人造迷宮
ケイト「迷ってる暇、あんのかよっ。
ごふっ
後先考えてる余裕あんなら先に行動しろ!全力尽くせ!!
団長だろうが!!!たとえ失策だろうが構うな!
そのへま一つで全滅なんざするほど、皆は弱くはないだろ!!」
肺に達した傷によって血が咳と共に吐き出される中、それでも構わず吐き捨てた言葉。
それがフィンにもたらしたのは…鼓舞でもなく、傷付かせてしまった不甲斐なさでもなく…怒りだった。
フィン(何を、迷っていた!?)ぎり!
ケイト「お前、は…死んでも、やられるな…崩れるな……
皆の…精神的、支柱…なのに、やられそうになってんじゃねえっ!!」
崩れ落ちそうになるケイトを抱き止める中、胸ぐらを握り締められながら叫ばれた。
レヴィス「なんだ、この血は…魔力を宿している?)
…」
それらのやり取りの間、レヴィスは数瞬迷った後、血を舐めた。
どっくん!!
次の瞬間…とてつもない魔力が流れ込んでくるのを全身に感じた。
レヴィス「くっくっくっ…はっはっはっはっはっ!」
狂ったようにレヴィスが黒い笑みを浮かべ、高笑い声をあげる時…
フィン「【魔槍よ、血を捧げし我が額(ひたい)を穿て】!【ヘル・フィネガス】!!
うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
フィンの瞳が赤く染まり、咆哮が響き渡る。
ヴァレッタ「はっはっはっ!!
ざまあねえなフィ~~ン!てめえの想い人はもう治らねえぜ!?
はっはっはっはっはっはっはっ!!」哄笑
下卑た笑い声が響く中、フィンの手によってケイトはそっと地に置かれた。
フィン「ラウル!!治療を!」
ラウル「はいっす!!」だっ
クルス「団長!オリハルコンの槍です!」ぶんっ
フィン「ありがとう」ぱしっ←投げ渡された槍を受け取る
レヴィス「居るのか…お前の中に大精霊が…
予定変更だ。狙いは…貴様(ケイト)だ」
がきぃん!!!!
フィン「やらせると思うかい?」
レヴィス「邪魔だ。どけ!」
フィン「させるものか!!」
その次の瞬間、矢継ぎ早に刃と槍が重なり合い続ける。
時に弾き、時に払い、時に避け、互角の攻防が繰り広げられていた。