第15章 人造迷宮
「強化種」でもある怪人、どれほどの魔石を喰らったのかレヴィスは強くなっていた。
ヘル・フィネガスを使わなければ負ける。
しかし、一つの可能性が脳裏をよぎった。
ヘル・フィネガスは能力を激上させる魔法だ。だが代わりに漲る好戦欲に支配されてまともな指示を下すこともできない狂戦士に成り果ててしまう。
たくさんの敵、広いフロア、馬車を中心に拡く展開し、指揮をやっている。
この状況でラウル達が自分の指揮を失えば…
団長故に、指示を出さなければいけない立場故の『一瞬の考え』。
その一瞬が、勝負を分けた。
レヴィス「死ね」ぶん!!!
それが致命的な隙になり黒き刀身が今、フィンを斬り裂かんとしていた。
ケイト「時空間魔法、結界!」
ビシッ
だがその刃は、まるで魔法が効かないかのように僅かな抵抗のみ示して斬り裂かれていく。
その僅かに稼がれた時間の間に槍で防ごうとするも、それさえも斬られてもはや目前に迫っていた。
迷ってる暇もなく、ドラゴン・ソウルを両足に集約、魔操作・魔闘・浮遊も共に併用するよう意識したが間に合いそうもなかった。
ケイト「嫌だ!(どっくん!!)
もう二度と…(姉が死ぬ瞬間が頭によぎる)
もう二度と、同じ轍は踏みたくない!!
間に合え!)テレポート!」
その瞬間、考えついた方法でフィンに覆い被さるようフィンとレヴィスの間に入った。
迫る刃とフィンとの僅かな隙間に身を滑り込ませたことで、右の背が斬り裂かれた。
ざしゅっ!!!
ケイト「ぐあっ!」
フィン「!!」
どさっ(フィンに被さるよう倒れ込む)
何が起こった?
…防ごうとした。なのに何故…何が、ここにいる?
それをどかそうと触れた瞬間、暖かい液体に触れた。
ぴちゃ
血?誰の…?
その被さった者の顔が視界に入った瞬間、やっと状況を理解した。
フィン「!…ケイト!!」
『!…え?』くるっ
ようやく目の前の変化を認識した瞬間、ケイトは血を吐き出した。
傷はそれほど深くない。不壊属性の服防具のお陰か浅い方だ。
だがそれでも、傷が肺に達したからか、吐き出される血も傷口の血も止まらずにいた。