第86章 紡ぎ
「癌」
それが生きた証は――アンリミテッドという浄化を境に、全て消失した
全てが消え去った―――
その日――存在したという痕跡から抹消された
癌を消す際――起こるはずだったこと
それが起こり――歴史から――記憶から――全てから消失した
それが与えた影響も全て――そこには癌が潜むから
本来、癌を消滅させる際、必ず起こるはずだったこと――それによって保全されるのだという…それが今起こった
『癌を大事にしたが癌から大事にされなかった被害者』側も、癌の異常性に何一つとして気付かない
どれだけ奪われたとしても、接点が奪うだけというものであったとしても…
癌の気遣いは上辺だけのもので、本当に気遣っていたのは搾取されていた被害者側だけ
『他者(被害者)からの好意、気遣い』
に対して、「癌」は「過度に甘え蔑ろにする、見向きもせず応えようとも報いようとすらもしない行為で返すだけ」
「ただただ上辺だけ取り繕って無償で搾取を続けるだけ」
「被害者が善意でやっていることが当たり前になって都合よくいいように利用されてしまう…搾取という形で」
「搾取されるだけで、無償の奴隷のように見向きも配慮もされないという扱い以外何も返ってはこない…まるで人ではないかのように扱われるだけ」
それは「仇返し」でしかなく、「決して善とは言えない非人道的行為」である
『大事にしてくれた人』に『正当な扱い(大事にするの)』ではなく、「不当な扱い(蔑ろにする)」をする――それが「癌」
自分の手前定規しか見えていない
こうあるべきだ、だから力尽くで無理やり変える
癌のそれはただの勝手、欲の暴走、押し付けでしかない
どれだけ大事にしても、無いものとされている、蔑ろにされている
癌は自らがしたその悪行を善だと言い、そう認識することを強要する
その行為のどこに善が宿る?
神様『この世で好きなように生き、数多の人の人生と関わっておいて、無いものとし続けてきて、一度として顧みず改めなかったように…
世界の終末を加速させる因子を、これ以上残しておく訳にはいかない。
一抹の不安に、一刻の猶予も与えてはならないのです。世界を存在させ続ける神として――』←3137ページ参照
そう説明されたように――
ケイト「私も…気を付けないと」ぎゅ←拳握る
〚該当外〛←白の国からの評価
