第85章 エラー
ラファエル「…あなたは…誰よりも貴い(とうとい)存在なのです。
どうか…それを忘れないで。
心を強く持って」
ケイト「…ありがとう」
数秒ほど静かに押し黙り…瞑目し、頭を下げる
無表情のままで…
そして…ラファエルさんは帰って行きました…天へ向かって…元居た神界へと
ケイト「………
俺は……
人類が…存在しているべきとは思わない……」ぽつり
『!!』瞠目凝視
ケイト「……原初の始祖神を贄にして、貪り食らい、何も…無かったかのように、見向きもせず、何故今があるのかも、理があるのかも、知ろうともせず、さも当然のように、享受し、享楽している…
それは……「癌」と、何が違うんだ?」
アスフィ「…‥…それ…は」
思わず、言葉に詰まった
確かに…していることは、同じなのかもしれない
ケイト「……(目を伏せ暗い表情で下を見る)
俺が…
誰とも繋がれていない、始祖神のように創世神の膜に閉じ込められていない。
だからこそ…今、こうして…実在化の力を全体に向けて出せている…
だから…4倍にまで、実在化の力を引き上げることに成功している…
均等に、なんて気にせず…圧迫も、何も、されていないから……
でも…始祖神は違う……
元創世神である、創世神の心であり、主人格を司る俺達は…その中でも始祖神は、ずっと、閉じ込められたままだ…
全ての自由を、時間を、対価にして、皆を成り立たせている。
誰が望んだ訳でもないのに…自らを捧げて……
そうすることで……始祖神以外の全てが成り立っている、存在という概念から……
俺は…それを恩とも思わず、感謝すべき事柄とも思わず、横柄に、やりたいように、好きにする行為が…どうしても、正しいとは思えない…
本当は引き継ぎたくなんかない。
それでも…やらなければ、全てが消えてしまう…
なら…選択の余地はない(真剣)←前を向きアスフィを見る
何より…皆が頑張ってきた全てを、無かったことになんかは出来ない。
引き継がないという行為は、そうする行為だから…(瞑目)←再び俯く
‥……「癌」を生み出すのは…人種族だけだ。
それは……「癌」と同じ行為を、必ず…取るものが出て、それを止めようとしないから。
自らの非を認めず、歪め、繰り返す…それが仇返しであり、「癌」そのもの…堕落そのものであり、破綻者であり、悪だ」
