第14章 遠征
ケイト「あれ?50階層まで瞬間移動でぱっぱと済ませればよかったんじゃ?」
フィン「そうしたら遠征の意味がなくなるだろう?
皆にも経験値が渡らなくなってしまうし、何より偏ってしまう」
ケイト「なるほど。それも視野に入れないといけないんだね」
そんな会話を終えてから、18階層のリヴィラの街で準備を整えた後で
例のケイトのおかしいと感じた場所、17階層の東へと向かった。
ケイト「よぉーし!!次は全開でラーベッジ行くぞ!!」
フィン「ああ。頼むよ」
そう伝えた直後、魔法円が彼女の足元で展開する。
ケイト「【集え、我が魔力よ!天を貫き、地を割り、任意のものの一切合切全てを破壊せよ!!――ラーベッジ】!
壊し魔力として喰らうは迷宮の壁!!」
ぽおおおおおおおおおおおお
どっごおおおおおおおおおおおおおお!!!!
左拳に魔力が集まり、閃光のような白く光った。
そしておかしいと感じる箇所に振り下ろした瞬間、ぶつけられた周囲の土は抉れていく。
凄まじい爆音と土煙に覆われる中、煙が晴れた頃に見えたのは白銀の扉。
不壊属性、オリハルコンでできたものがそこにはあった。
フィン「オリハルコンか…」
リヴェリア「フィン…これは」
フィン「ああ。まさか壁の中に入口を隠していたなんてね」
ガレス「この扉を破って向こう側には行けそうにもないの。
他から掘り進めていけばあるいは…」う~む
顎髭を撫でながら呟くガレスに、僕は静かに頷いた。
フィン「どう見ても…怪しいな」
ケイト「……ねえ、一つだけ試してみてもいい?」
フィン「?できるのか?」
ケイト「うん。あくまで可能性だけど…
やらなきゃ始まらないと思うし、皆こういう扉だと思うから。
今の内に壊せないと意味がない」
アイズ「どうやって壊すつもりなの?」
ケイト「…ドラゴン・ソウルになって、魔力として喰らう」
『!!』
フィン「できるかい?」
ケイト「成功する可能性は今考えた策の中じゃ一番高い」
フィン「そうか…なら思う存分やってくれ」
ダメで元々、あわよくば…
そんな考えから言うと、周囲の皆は目を丸くしていた。