第84章 竜の巣
真偽官「もう言わなくていいね」
審査官「大丈夫だよ…?
ちゃんと伝わってるからね?死んだ人達には」微笑
書記官「言わなくても伝わるからね、中身は。
だから…安心していいんだよ?」微笑
そう、ぽんぽんっと頭や肩に各々手を当てて、そのまま優しく撫でてこられて…
尚更に涙は鼻水まで一緒になって止まる所か零れ落ちるままにいた
ケイト「ずっと振り回されてきたから…
無いものとして扱われてきたから…
どうしても思えないんだよっ
いいことだなんて
どうしても出来ないんだよ…っ
力にも、人にも、幸せでいて欲しいんだよ
ゆっくり休んで、大事にしてて欲しいんだよ
私はいいから…されてないことには慣れてるから…いいんだよっっ」ぼろぼろ
拘束官「いやよくねえよ;
どんだけ自分大事にされなかったんだよ;」
書記官「ん~…その中でこそ、自分を大事にするスキルが身に付くって思ったんじゃないかな?」
審査官「でも難しくない?」
真偽官「人に言われて出来るものでもないね、この性分だと」
『…参ったね/参ったな』
審査官「でも自分を大事にしない人だからこそ、人や全部に過不足なく平等に実在化の力を送る源となるんじゃなかった?
基盤となって」
書記官「そこはそうなんだけど…」
『困るんだよなあ、死なれると;』
ケイト「っぐす、ひっく」
拘束官「よしよし;」なでなで
審査官「よしよぉ~し」なでなで
真偽官「一先ず安心させる所からね」溜息
書記官「まあそれはその通りなんだけれど…
参ったなあ;(天を仰ぎ後ろ頭を掻く)
う~ん…
君を大事に思う人を哀しませないようにね?」
ケイト「へ?」きょとん
審査官「死んだら哀しいよ」
ケイト「何で?」
『え?』
ケイト「私…ぱっぱとあの世に帰りたいよ?
痛いのも辛いのも少しでも早まるなら嬉しいよ?
何で哀しいの?いつか、そう遠くない内に会えるのに?
千年も経たずに会えるのに?何がそんなに哀しいの?」
寂しいのはわかるけれど…
と言うと…
困ったような顔で苦笑交じりに見つめてこられた
審査官「フィンが死んだらどう思う?」
ケイト「絶対やだ、哀しい」
書記官「フィンが自分を粗末にするようになったら?」
ケイト「止める」
『そういうことだって』
ケイト「…………
あ;」はっ!
テロップ『理解が遅い!;』