第84章 竜の巣
聞く想いも無い、見る想いも無い、そんな言動を取る人間に、それを悪だとも思わず認識を押し付ける人間に、果たして悪意が無いという理由だけで、善人だと思うことは可能か?」
『無理だ』頭振る
ケイト「そう。否だ…
人の気持ち、立場、想いは皆違う。
誰かから押し付けられていいものでも無いし、歪められていいものでも決してない。
認識を押し付けて、つもりを押し付けて、本人の気持ちや意志を蔑ろにしていい訳では決してないし、ならない。
それを蔑ろにして、善意を押し付けて、人を死に至らしめて回り、壊して回り、住めないようにしたり、責任も罪も『してない人』に平気で押し付けて背負わせ、平然と目撃者の前で事件現場や街を笑って善人アピールしながら闊歩する暴君、それこそが「癌」だ!無自覚型の。
だから…守るのは膜までだ」
フィン「だが消滅の危機が
ケイト「だとしてもだ!
自身で打ち勝てないと、歪みに勝たないと、何にもならない!!
中身はお前が守るんだ!!!」
フィン「つまり…自分が手助けしたり、操り人形にして支配したとすれば、本人の力にはならないまま、ケイトや原初の始祖神が居なければすぐ染色されて消える、淡い存在になってしまう。
それを危惧しての判断なんだね、わかったよ」
アスフィ「なるほど…
だからと言って、あまり褒められることでもないように感じますが…」
ケイト「それでもだ!
人を支配して、操ったとして…それは本人だなんて言えるかよ…!
自分で身に付けられなきゃ、どうにもならないじゃないか!」
アスフィ「ケイトが居なくなった時のことを見据えてのことですね。
自分で癌に抗えなければ、集団に流されるまま行動して責任を転嫁し自己正当化に凝り固まってしまえば、癌になってしまうからと」
ケイト「頷く)ああ…
「癌」による染色は、自分でどうにかするんだよ。
出来なきゃ消えるだけだ。消えたくないなら、消させたくないなら、背負うんだ。やったこと全てを…
そうでなければ…全て無駄になって、中身が闇そのものとなって、中身が空っぽになって、消えるぞ。全てが!」
フィン「要するに……‥
空気清浄機ならぬ、魂清浄機」
ケイト「…………複雑・・;」目が点
フィン「え?;」
ケイト「嬉しくない;」
フィン「ま、まあ…聞こえは悪いけれど、皆の魂を浄化する大事な役目で」
