第83章 剪定
『剪定』とは、不要な部分を切り取って整えることで生育を促し、美しい姿に仕上げる作業
全てを無駄にし無に帰す存在、癌…
それこそが不要な部分なのだろう、それに触発、侵食されて癌に染まった存在も同じく……
この世という存在を、世界を、全てを…守る為に……仕方なく
癌が己も含め全てを消す、それは既に定められている
本人の意図や本意等、関係無しに…
だから、その前に直前というタイミングで消す…それが滅神としての業務だ
誰も代わりはいない…それは誰もが同じだ
だが…全てを消す存在を、実行に移すまで実在させ続けておく訳にはいかない、直前までしか放置出来ない
要は、犠牲等ではないと言いたかった…
癌の消滅は、犠牲とは決して言えない…『身を持って学ばせる』という意味合いでの『お灸(罰)』に過ぎない
言ってわからない子供相手と同じことだ…
言ってわからないのなら…放置して、その身を持って学ばせるしかない
たとえ痛い目を見ようとも、自己責任で行動を取らせ、その上で学ばせていくしかない…それでも学ばないのならば、割り切るより仕方ない
「犠牲はつきもの」とは、そういった意味で発した言葉だ
犠牲といった類は、『学びにおいて避けられないもの』を指す――
なので…癌が消えることは、犠牲等ではない
本人の起こした数々の迷惑行動、罪を罪とも思わないそれらが、積み重なり過ぎたが故の――末路なのだと
だから…痛むのではなく、助けようとするでもなく、そう捉えて、別の形に起こして欲しかったのだと伝えた
助けようと意気込む必要も、責任を負う必要も、無理をする必要も無いんだと…君一人が気負う必要は無いのだと……
だがケイトは違った…
その消滅があったからこそ、今という形がある
今の皆もある、そう思ったら…それごと愛そう、守ろうとしてしまう、と
冷たいようだけれど…癌自身は苦しまないようだし、消えるまで知らないままの方がいい気もする、とも
ケイト「なるほど…
言いたいこと、やっとわかったよ。
わかるまでぶつかってくれて、教えてくれて、本当にありがとう!
色々と腑に落ちた…
お灸を据えようとしてるのに助けたらダメだよね、ごめんね;(お辞儀)
そういう感覚、理解出来てなかったんだ;」頭下げたまま俯く
フィン「これから学べばいいよ」くす