第14章 遠征
フィルヴィス「【勇者】、彼女への弟子入りを赦してもらえないだろうか?」
フィン「済まないが同じファミリアの者しか許可できない^^;」
フィルヴィス「…」がくっ←肩を落とす
アイズ「フィン…手合わせぐらいならいいんじゃ?」
フィン「ンー…そうだね。
同盟を結んでいるわけだし、その範囲までは許可しよう」
フィルヴィス「ありがとうございます!!」
凄まじい勢いでお辞儀をした後、私の方へ振り返って手を握り締めて何度もお礼を言われた。
確かにあれは芸術的だった。
かかってない範囲、かからない範囲、それらを見極めた上で一太刀の流れとしていたし、その動きを加速させる滑らかで淀みない魔力集中と移動…
もっと修業しないと!(ぐっ!!)
フィン「さて…士気も戻ったかな?)
本当に…いい刺激になるね^^」くす
リヴェリア「ああ…
つい先程までは不満が爆発するだけに留まらず、劣等感に押し潰されかけていたというのにな」溜息
ガレス「まあ…確かに、長年やっていた者ができんことを平然と新米にやってのけられたら、こちらとしては立つ瀬がないわい」溜息
ベート「逆を言えばそんだけ死んできたってことだろ」
フィン「ああ。そしてその上で強くなってきた。
やられたままで、努力もしなければ決して強くはなれないだろう」
リヴェリア「そうだな。違いない」ふっ
ガレス「全くもって、その通りじゃな」ふっ
フィン「だから同じ基準を求めるということ自体、彼女にとっては酷なものだ。
僕達の物差しで測ることも含めてね」目を伏せる
ベート「理屈はわかるけどよお…」
フィン「冒険者になる以前の経験値が大き過ぎたんだと思えばいい。
呑み込み辛いことはわかる。
だが、それが彼女だと知って欲しい」
ベート「……ちっ。
随分と心強ぇ味方ができたもんだな」ぼそ
フィン「ああ^^
(それでいい。その方が、彼女にとっても…有り難いはずだ)
その特殊な環境や経験上、彼女にしかできないことも多々あるだろうからね。
そこの所、よろしく頼むよ」にこ
そう諭すフィンの目はどこか優しく、遠くを見据えているようにも見えた。
その頼みに、私達は揃って頷いた。
そして…未だ帰って来ないケイトのことが心配になった。