第14章 遠征
フィン「なら続きを教えよう。
またある時は兵に殺されながら、その身一つで全ての技術を受けて次々に吸収していった。
誰も吸収する者がいなくなってからは、自分に合った動きを模索し始めた。
そして試し斬りで動物を斬り続けて5年、彼女の技術は成熟した。
確かに…記録だけを見れば、冒険者になってから15日目でオッタルを倒したことに違いはない。
だが、そんな馬鹿げたことじゃない。
それ以前から、彼女の築き上げてきた武術がある。格闘センスもね。
だから…冒険者になってからの日数よりも、人としての死線を潜り抜けてきた数を見てやってくれ。
だからこそLv.1になった時にそれらが評価されて、あれほどの数値になったのだろうからね^^」
ラウル「……なるほど」
フィン「だから、くれぐれも色眼鏡で見ないでやってくれ。
潜り抜けた死線の数、ひいては経験した修羅場に関しては僕らよりずっと先輩なんだろうから」くす
ラウル「す、すみませんでした!(深々お辞儀)
と、所で……そ…そんなに理不尽だったんすか?;
ケイトさんはそんなこと、人には全然してないっすけど…;」
フィン「ああ。どれほど嫌がってもやめることはなかったそうだ。
それでも仕返しは決してしようとしなかった。人を傷付けることもね。
だからこそ、スキルに愚突猛進が発現したんだろう?」
その言葉に、周囲は納得したように頷いた。
フィン「彼女はずっと長年、たった一人で死線を潜り抜けてきた。
何度も死にながら、その身一つを持って常に学び続けてきた。
その分だけ強いのだと、ちゃんと評価してやってくれ。
それまでに何もしてこなかったわけではないのだからね^^」
『はい!!』
それらの言葉を理解する度、理解が深まっていく内…
先程抱いていた、強まっていった黒い炎が鳴りを潜めていくのを感じた。
ずるいと喚く感情が治まり、心の中で彼女(ケイト)に謝った。
羨ましいなんて言葉で解決していいほどのそれではないのだと、フィンの言葉を聞いて思った。
それは皆も同じみたいで…
ティオネ「あれは凄かったわね」微笑
ティオナ「心強いよね!^^」
レフィーヤ「はい!^^」
笑い声と共に、先程の動きを談笑の肴にしていた。