第83章 剪定
レイ「原初の始祖神の年齢よね?」
ケイト「そう」
始祖神「難しく考えなくていいのよ」
ケイト「私の中に宿る始祖神様が、原初の始祖神様
つまり…私本人
とも言える人
で…
その……
何を難しく考えなくていいって?;」ぽりぽり←冷や汗混じりに左頬を左人差し指で掻く
始祖神「難しく考えなくていいのよ…
癌のことは…
清浄の邪魔をする敵、実在化の邪魔をする害悪そのものの象徴
学ばない心の権化、全ての憎しみの根源、世界の歪(ひずみ)
全てを消滅に至らしめるだけの存在に過ぎない
それ以外の見識も、知識も、何も要らない
認識は…敢えて言うならば……「毒」
世界を歪め、消滅させる、「毒」
だから消さなくてはならない…全てを消される前に
だから…これ以上はダメ
癌に拘ってはダメ
不毛な争いの素になり兼ねない…
だから……やめなさい、難しく考えるのは」
ケイト「じゃあ…癌になるのを避けるのは、どうしたら
始祖神「思い遣りを持ちなさい」
『!』
始祖神「あなたが…やってきたことじゃない
敵相手でも、どんなに非人道なことを自身にやってきた相手だとしても、幸せで居て欲しいと…願ったじゃない
どれほど報われなかったとしても…
愛し、大事にし、憎しみに飲まれること無く、誰一人として殺さず、対話し、尊重したじゃない
たとえ――消える定めを迎えるとしても
生半可なことでは出来ないわ
普通ならば…消えて欲しくないと、死んで欲しくないと、暴走する
でもあなたは…人の想いを考えてこそ、踏み止まった
少しでも減らそうとした
人の傷を…痛みを……己が事のように――
それこそが一番大事なの――『思い遣り』という、大事な理として
「正義の暴走」、「自分という拘りの横暴」…
それが「癌」
自分しか見えていないから…『される側の心』に寄り添わない
『自らの心に寄り添って、大事にしようとしてくれる者達』を見ない
だから…「『恩』を仇で返す在り方」を、取り、「繰り返し続けて」しまっている
だから…「癌」になると、「自分は何も悪くないわと頑なに凝り固まる」
平気で痛まずに取り続けていられる…
『あなたのように痛んで、どの方法が皆にいいだろうかと常に模索し続けること』なんて出来ない
自分にとってで選んでしまうのよ…あなたとは違って、ね