第14章 遠征
自然…言葉として表現するならそれの如く、自在に思った通りに動きに合った魔力集中と操作を行い続けている。
それも無意識の内に、常に状況に合わせて強弱まで完璧に使い分け続けている。
必要時以外は均等に、一切のブレもない。
ケイトは強い…どこまでも強い。…全身から迸る魔力から、否が応でも伝わってくる。
ケイトはまた、今この瞬間も強くなっていっている。
【猛者】に単騎で勝つのは普通では無理、でも…ケイトは超えた。
一か月も経たない内に、入ってたった…15日で。
今までにない異例の速さ、あの子(ベル)よりも遥かに速い。
そもそも戦闘技術が卓越し切っている。たくさんの戦いを経験してきた。
動物相手に、兵士相手に、人間相手に…たくさんの戦いが、その動きだけで垣間見えるほどに……
追い付きたいのに…(ぎゅ)
こんなにも、強くなりたいのに……(ぎり)
強くなるほど、近いはずの背が遠くに感じる。
まだ…まだ、足元にも及ばない。
一緒に強くなれる?違う。
甘えていただけだ。彼女の優しさに。共に生きたいと望む心に…
強くなりたい…私も、ケイトに負けないぐらいに……強く、なりたい!
フィン「…(劣等感でも感じているのかな?
無理もない。
ケイトが冒険者になってから、まだ『3週間』でこれだ。
僕らでも出来ないことを平然とやってのけている。それも自然に。
冒険者としての期間が長いこちらとしては、ただでさえ立つ瀬がないだろう。
いずれにせよ、このままではいけない。何より芳しくないかな。
ふうっ(溜息を零す)
いずれこうなるだろうことは予期していたが…いいものでもない。
ンー…さて、どうするかな?」顎に手を当てて考え込む
ラウル「…団長」ぽつり←拳を握って震えている
フィン「ん?」
ラウル「ケイト、さんって…何で、あんなに強いんすか?
俺達に被らない軌道に腐食液が破裂するようにだけじゃない…
腐食液の拡がる範囲が拡大しないよう、計算して斬ってたっす。
それも、自らが動く挙動だけで破裂する絶妙な力加減で。撤退する時間も含めた上で!
ケイトさんは、何者なんすか?…一体、何をすればあんなに?」
その狼狽と共に青ざめながら語る様は、怯えているようにも見えた。
目に見えて、同じように考える冒険者の数が多かった。