第83章 剪定

だから…「癌」は消えるのよ
自分だけだから、そこを過ちを認めず、非と認めず繰り返すばかりか増やすだけの悪童だから…そこまで…人のことを、そうされる痛みを、考えられない人だから

どれだけ思い遣っても、報われることの無い痛みは…死ぬよりも辛いわ、何よりもね……それを自らに取ってで穢すの

だから消えるの、消すの、闇のみの、いいえ…消滅の根源だから、実在化ではなく、全ての存在消滅の


大丈夫…あなたは…大事に出来ているわ
たとえ…人からどう見えようとも

あなたが大事にしていることを、あなたの中から見ている
目を離さず、その考えも、痛みも、どうして言わなければならないのか、その心の内まで

言う分を最小限に、消えるとしても自分のせいではない、出来ることはしたと、言い聞かせることも、自らの暴走を防ぐ為に…それで脅かさせない為に、全てを守りたい一心で


たとえこの世で、この世の内で、見てもらえなくても…私だけはちゃんと見ているわ」
ケイト「っ」ぼろぼろ←両の目から涙が溢れ出す

始祖神「あなたは……誰よりも優しい人よ

人は…上辺や、見た目じゃない
見てくれがどんなにいい人でも、癌だって紛れている
一番大事なのは…『配慮してくれる、愛してくれる人』を愛する、それだけでいいのよ
それさえも守れず、自分勝手に破るから、固執するから、癌は破れるの、自らで自らを破って殺すの

自分の髪を自分で引っ張って助けて～って泣いてる赤子と一緒、現状も罪も何もわかってないしわかろうともしてない、厄介な毒よ」

ケイト「ぐすっ…

ん？」
なでなで

始祖神「大丈夫…

大丈夫よ…（すっ）←腕を伸ばす

あなたが居る限り、癌にはならないわ（ぎゅうっ）←優しく両の腕の中に閉じ込めるように抱き締める
この世界も…人も……
よっぽどのことが無い限りはね

あなたが…守ってくれているのよ？
あなたが…その浄化で、癌の開花を遅らせてくれているのだからね、外側から
もっと自信を持ってね


あなたが…安定剤なんだからね、この世界の」

ケイト「ぐすっ…頑張る」ぎゅうっ

顔は見えない…

だが…力強く抱き返す姿が、やけに印象的に残った
と同時に…『剪定』、つまり『額の輪っか（天輪）』の淡かった白色が、両目まで境界線がしっかりとわかるように光が強まった


そして―――『剪定』の実体化が成った