第83章 剪定
白の国から帰還して…程なくしてのことだった
自分も…癌なのかもしれない
そんな呟きを零す、ケイトを見て…居ても立っても居られず、といった様子だった
そのことはまだ――皆には報せてはいない
ただ…ひとつだけ知っていることがある……
それは――――
ケイトを守りたいと願うものは、僕等だけではないということだ
始祖神だけではない
数多の存在が守りたいと、そう願ってくれている
想いは同じなのだと…それを知ったその時……君(ケイト)は、どういう顔をするかな?
それよりも!!自分を守れよ!!!!幸せになってよ!!!!!!
痛切な顔で、歪んだ表情で…泣きそうな目をしながら……俯き、苦しそうに…痛々しい声で、荒ぶる想いと共に、叫びが喉笛を割いた
ただただ守りたいんだろう…その為に傷付くのが嫌なんだろう
だが…それは、僕達も同じだ
同じ想いを、互いに抱き合っている…
だからこそ――通じ合える
僕達は
いや…私(フィンの魂の一人称)達ならば
真に理解し合い、和解し合い、共に生きて行ける。どこまでも永久に――それが僕の願いだ
たとえ叶わなくても構わない
自力で、少しずつでも近付いて行ける
そう確信している…僕等ならば『出来る!』
支え合って行けると……信じている
ケイトを――皆を―――
フィン「……逝ったか」
ケイト「ああ…当分は出て来れないよ、地獄からは」
フィン「そうか…」
リヴェリア「地獄の蓋は強力だからな」
ケイト「実在化の為に、闇を封印してるんだ
墨汁という名の穢れ、その毒素を吐き出していくからな…マイナスの位に至った人達は」
フィン「そして完成してしまったものを癌と呼ぶ」
ティオナ「地獄の底を踏み抜いてしまうって言ってたよね~」
アイズ「だから…消えちゃう……
どこの…どんな世界に生まれ落ちたとしても」
フィン「完成した魂は共鳴し、他世界の完成していない存在まで、全てに至るまで、どんな光も闇に変える「闇そのもの」として…「癌そのもの」として完成した存在となってしまう
必ず、確実に…どう逃れようとも……ケイトの尽力で逃れようとも…ね
それは一時的なものに過ぎない、切り取られた時間軸で無事だったとしても…全体像ではそうはいかない
物事はそう…単純にはいかない
だから重いんだ」