第83章 剪定
ケイト『つまり…背負おうとしない心?
いや、う~ん;
言語化って難しいなあ;』ぐるぐる腕組み頭捻る
侑子『傍に居(い)るわ』
ケイト『へ?』
侑子『あなたが存在(居)るだけでいいの
私の願いは…変わらない
たとえ――余剰分で、「あなたの望みを叶えて」と言われたとしても(願われたけど)
私は望むわ――あなたの生を、喜びを、謳歌を』
ケイト『…
よくわかんないけれど…ありがとう^^』
侑子『教えてあげるわ…
たったひとつだけ……
あなたがこの世界で出会った2人の癌の在り方は、善に見えるかもしれない
でも…それは、あくまで見え方であって、実物(本物)ではないわ
実際は…悪よりも醜悪で歪(いびつ)
中身が無いから
それは…善よりも、悪よりも、何よりも罪深い
繰り返すことしか出来ないから
もっと大規模にして、増やすことしか出来ないから…
全てにおいて災い(消滅)を齎す大本だから……
だから…覚悟しておきなさい』
ケイト『何を…?』
侑子『あれと接するだけ、触れるだけ、見るだけで、言葉に起こすだけで、口は穢れ、内臓は爛れ落ち、全てが消える元(もと)にもなり兼ねない…
あれはただの墨汁
同じ癌を生むものでしかない、危険なものよ
たとえ本人にその気は無くともね――
必ずなるわ、癌に
魂の根幹から、心から、癌そのものだから――
残念なことだけどね
あれが居る限り、未来は無いの
だから消えるのよ…生み出した全てを守る為に
その為にも消さなくてはならない――「背負わない心」を持つ根幹から、一掃しなければならない
それは伝搬してしまうから
魂の心から抱いているものだから…全ての存在に流れ落ちて行くものだから
定めなのよ、そういうね…決まりなの
創始者のあなたなら…わかるでしょう?
創世神の記憶を持つ、あなたならば』
ケイト『ああ…わかる
それでも…
助けられる存在(の)なら、助けたい
出来ることは…全てした上で、迎えたい
最後の瞬間まで、後悔しないように生き抜く』
侑子『瞠目)……‥
そう…
それが…あなたの答えなのね(ふっ)
変わらないわね…あなたも^^』ふふっ
楽しそうに笑う侑子に
ケイト『へ?』
怪訝に目を丸くした
侑子『その真剣な顔も…込められた想いも、願いも
本物は…やはり違うわね』