第14章 遠征
ケイト「パイオニア、大盾」
次の瞬間、左手に二振りの脇差が集い、大盾へと白い光と共に形を変え、手の中に現れた。
腐食液がラウルの眼前に降りかかる中、大盾が滑り込んだ。
フルプレートをかけたことは忘れているのかな?;
まあ…居ても立っても居られないのはわかるけど。
右手に僕の短剣を持ったまま駆け出すケイトを止められず、静観することにした。
ケイトのことだ。万に一つも犯さないだろう。
アイズ視点
51階層から芋虫の群れがやってきた。
ちょうどフィンが自分の短剣の切れ味を見てもらっていた時で、ケイトは咄嗟に悲鳴をあげる人達の前に滑り込んだ。
15歳の誕生日に得たという武器を大盾に変化させながら防いで、ラウルに持たせた直後、芋虫の間をすり抜けながら…
ずばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばば
その動きは、まるで…躍りのように見えた。
たった一瞬…一瞬で芋虫の大群の隙間を縫うように通りつつ、武器を持った格闘技術だけで…文字通り切り裂いた。
結界も何も纏わず、腐食液さえも触れさせないほど速く動き、魔力と共に加速し、捉えきれないほどの動きで39体をほぼ同時に斬って離脱。
当の芋虫は斬られたことにも気付いてない。
斬った武器でさえも腐食液に触れていない。いや、中身である腐食液にのみ触れないように斬って捨てた。
一級品の技術が、そこ(ケイトの動き)にはあった。
ケイト「破裂するぞ!離れて離れてー!」
ラウル「は、はい!」
ばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばぼぉん!
そして皆をそこから離れさせた瞬間、斬った39体が同時に爆発した。