第83章 剪定
フィン「だが…諦め切れてないんじゃないのかい?」
ケイト「いいや…あいつの魂は真っ黒だ…
あいつと同じで、2例目の癌と同じで…飛王と何ら変わらない――
庇った所で二の舞いになるだけだ。俺にはわかるんだ…
あの頃の俺とは違う……ちゃんと、目ではっきりと見える。
から…」
最後、途切れ途切れになりながら…力無く項垂れる
助けたかった想いが、僅かに封から漏れたように感じた
だが遅い
あいつは、2例目の癌は…別の世界で、フレイヤ・ファミリアを解体させ、ロキ・ファミリアを解体させ、
それを好機と他国からのオラリオ侵略が、アマゾネス狩りの再来が、いつ訪れてもおかしくない状況を作り上げている……
それを防ぐ為に、消滅させられた――
どの世界線でも必ず起こるそれ(終わり)を―――止める為に
「自らの守りたいものの為に、全ての居場所を奪い、家族を奪う。その再来を、幾度と無く繰り返す」――
「この世をゲヘナ(全てが永遠に苦しめられる地獄)へと変える」、その「根源」が、「癌」だから―――
『始祖神が自らを引き換えに全てに与えた自由と時間』を、「自らの都合で奪い、振り回し、害を与え、繰り返し、増やし、全てを脅かし続けるだけの存在(善人の皮を被った悪魔)」だから
アイズ達の力を貪るばかりで、貸してもらうばかりで、一向に貸さない、そればかりか罪を着せて被害者ぶる人達、「実害を加えて回った街に居座って、人のせいにして繰り返し続ける、心が腐った弱い卑怯者(癌)」だから
ここまで考察した後
『癌とは根腐れ病だって
力を持つのに最も相応しくない、魂の位の最も低い人達だって
消されなきゃならない人達なんだって
魂の根っこが心なんだ、つまり主軸』
ケイトがいつか言っていた言葉が脳裏によぎる…
世界を実在化させる為、癌に消させない為に、この世(現界)にケイトが遣わされた
ケイトがこの世に居るだけで、実在化と浄化の力を倍増しに送ることとなり、癌の破裂(開花)を外側から押さえ込むことで遅らせ、癌に更生の機会と延命を与える。
それが役割だから――
だから―――『創世神の膜持ち(次期原初の始祖神)』になるのに、『どんなものでも消えて欲しくは無いという想い(水の本質)』に加え、『どんな癌も見抜く剪定者と呼ばれる主軸であり根幹(火の心)』が『必須事項』になる
