第3章 家族として
フィン「うん。そういったつもりじゃないってことは、「僕らは」知ってる。
でも他の人は、君が記憶を無くしていたことを知らない。
傍目から見れば、そう見えるかもしれないっていう話だ。
事情も知らないにも拘わらず人の偏見や口は止まらない。好き勝手に吹聴されることだってある。
たとえそのつもりでやったわけではないにしても、責任が伴われるものだ。
感情だけで突っ走っていいものでもない。
どちらにも波風立たせないでいられるには、独断での行動は慎む必要がある。
この意味はわかるね?」
ケイト「…はい」俯
フィン「それでも、止められなかった?」
ケイト「……家族、だから」
フィン「!」
その言葉に、僕は目を丸くして固まった。
あんな目に遭ってもなお、そう思っていたことを本人の口から知らされたから。
ケイト「ああいう風に…されても…それがなければ、私はそれをされる側の気持ちはわからなかったと思う。
人には絶対にしないぞって思えなかったと思う。
だから…街の人達も、大切なことを教えてくれた家族だと思った。
それだけじゃなく…
あの街は…大切な家族がいた、生きた証だから…消したくなかった」
フィン「たとえ僕達に迷惑をかけても?」
ケイト「っ…;」ぐさっ
フィン「君の言いたいことがわからないわけでもない。
でも、勝手な行動だという自覚はあるかい?」
ケイト「…あります。あの時は…冷静な判断が取れなかった。
相談もせずに突っ走って、護ることしか頭になくって…護りたいって…そればっかりでっ…余裕も無くしてて…
そういう形で…迷惑をかけるなんて思ってもなかった…考えつかなかった…
本当に…本当に、ごめんなさいっ!」ぽろぽろ
涙を零しながら、頭を布団にまでこすりつけて謝罪された。
正座したまま、拳を膝の上に乗せて握り締めたまま…
心からの言葉だということは、そのつもりがなかったことは、誰の目にも明らかだった。
ケイトは素直過ぎるからね(苦笑)←肩をすくめながら、両目を瞑って溜息を零す
フィン「…わかってるよ。君がそういう人間なんだってことも。
でもね、僕が言いたいのは…行動に移す前に、相談して欲しかったってことだ」
ケイト「え?」きょとん
あ、ダメだ。これはわかってない顔だ;