第82章 光芒(こうぼう)
ここは恐らく異空間結界の中
この空間以外何も感じ取れない、把握しようとするだけ魔力を吸い取られる
そうだ!市民カード!携帯!!
ダメか…
どうやら…ここに来た者は、魔力と武力以外は何も出せないようだ
出せても…魔力や神力、魔術式を有さない武器のみ
新たに戦力を増やさせず、確実に捕らえる為に!
術式を書き込めないのは確認するまでも無くわかった、壁に真似され相殺されるだけ…魔法もだ
ケイト「神剣があれば…」ぽつり
無いものを思っても仕方ない←頭を振る
パイオニア(脇差)で切り拓くしかない!
人一人がやっと通れる薄暗く長い通路の中で、光がようやく見えた
ケイト「!」ぴくっ!
魔術の気配が強まった…!
行けば…閉じ込めている魔術を解けるかもしれない
いずれにせよここにいても何も始まらない!
気配のする方に向かうと…
その先は広間で、人が出入り口付近を囲んでいた
正面の敵が魔術を使おうとする素振りに合わせ、脇差でその前に止める為に斬り掛かる
ケイト(魔闘で加速しようものなら、壁に真似されて一気に吸う力が上がる!
短期決戦しかない!
魔術が発動するよりも先に斬り掛かった方が早い!!)
左右の人もそれに合わせバラバラに動く
掻い潜るように、近付けないよう間合いを測りながら最短距離で正面ヘ向かう
全ての動きが誘導だと気付くまで、数秒
ケイト(おかしい…
あまりに統率され過ぎている)
動きに釣られ一瞬反応が鈍る
ケイト「!
(まさか…誘導?!」
気付いた時には
カチッ←一歩踏み出した瞬間
ばぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢ!!!
ケイト「ぐあああああああああああああああああああああああああ!!!!」
全身に火花と電流が走る
立っていられなくなり、走った体制のまま前のめりに倒れ伏した
地雷式魔術(高圧電撃)…
どしゃあっ!!
カランカランッッ!!
脇差が右手の中で遅れて音を立てる
すっ
ガチャン!!
力が入らず体が痙攣する中
一人の長身の男性が手慣れた動きで手から脇差を離させ、両腕を掴んで手錠を嵌める
そのまま上着の背中部分を掴んで引きずられ、手近な部屋へ叩き込まれる
だあんっ!!
ばあああんっっ!!
ガチャ
入って右側の壁に背中から叩き付けられる中、重々しい扉が閉まり鍵のかかる音がする
暗闇の中に閉じ込められた――
