第14章 遠征
怪物の宴(モンスター・パーティ)と呼ばれる現象…
それはモンスターの大量発生を意味する。
ケイト「モンスターパーティーに遭遇する時は降りて、それ以外では緊急馬車で進んでいくとは…」
フィン「そちらの方が速いしやりやすい。
キャンプも馬車内に放り込めるぐらいだからね」
ケイト「そりゃ物置自体が縦横高さ50m四方だし」
フィン「おまけにトイレまで付けるとは」
ケイト「だって遠征って長いんでしょ?作っておかないと。
(キラーン&にや)
よし、フィンへの仕返しに男子トイレを小さくしよう」
フィン「い;」ぎくっ!
ベート「何俺らまで巻き込んでやがんだ!;」ごんっ!(ケイトへ拳骨)
ケイト「いたっ!;」
ベート「どうせ仕返しするんならフィン個人にしろ!」
ケイト「うーん…
そうだね;
巻き込まれる側としたら堪ったもんじゃないよね;」
ベート「当然だ!
それより飯作ってこい!
ジャガ丸くん焼きやらを作んだろ!」
ケイト「あ!そうだった!行ってくる!」
たったかたー
フィン「助かったよ。ベート」
ガレス「巻き添えを食う所じゃったの」ほっ
ベート「くれぐれも巻き込むんじゃねえぞ!」ぎろっ
苛立ちを隠せず、ずかずかと床を踏み付ける足音を立てながら去っていった。
僕らが今いるのは49階層で、馬車内でドンの合図を待っている所だ。
モンスターパーティーに遭遇すれば報せを寄越すよう既に言っている。
例の小人族発覚の件で、ケイトは未だ仕返しをする心積もりらしい。
ことは4月1日、寝入ったままのケイトを治療院でアミッドに診てもらった所
彼女(アミッド)によると、『隔世遺伝でヒューマンの外見と成長を受け継いだだけの小人族』という診断が下された。
鑑定も使ったので間違いないとのことだ。
ファミリアで唯一の小人族の部下、それでも外見ではどう見てもヒューマンにしか見えない。
例の遠征で駆け付けた際にケイトを見た瞬間、全身に稲妻が走るほどの衝撃に我を失い、頭がフリーズして指揮を忘れていた。
そして知れば知るほど惹かれていき、気付けば生まれて初めて恋に落ちていた。
感覚的に言えば、見惚れた『初恋の人』が小人族(パルゥム)だったという感じに近い。
運命だと思った。この機会を逃せば次はないとも…
確定的な証拠が出るまで言えずにいた。