第14章 遠征
ケイト「そう…だったんだ。
でも教わってないよ?;」
フィン「恐らくそれよりも必要になるだろうと、君の生みの母親は共通語を教え込んだんだろう。
ヒューマンに受け入れられて、神聖語の読み書きを教わり
ヒューマンと同じ見た目で共に育っていったことから、ヒューマンだと疑わずにここまで育ってしまった」
ケイト「……確かに、私は生みの母親と同じ身長だった。
10歳の時点で一番同い年の中で小さかった自分と;」
フィン「説明の続きをしようか。
その会話の内容から察するに、夫婦はあることで喧嘩していたんだ。
君の外見が自分達とは違ってヒューマンであること、
偉大なる先祖の隔世遺伝、ひいては先祖返りだともめていた。
父は浮気でできた子だと罵り、母は違うと叫んでいた。
意味は通じずとも怒っていることだけは通じる。
暴力や暴言を浴びせられてきたから、余計にそう思ったのだろう。
それが確信に変わったのは、契約締結の紙が来た時だ。
ヘレイオスの妻は小人族だった。
そしてそれ以降、その子供はハーフ・パルゥムでありながら小人族でなければ子孫はできなかった。
彼の子孫の配偶者は全て小人族、ヘレイオス以外にヒューマンは一人としていなかった。
その状況が2800年続き、唯一の隔世遺伝を果たした存在…それが君だったというわけだ」
ケイト「えっと…つまりは」
フィン「そう。
早い話が、君は先祖返り、ひいては隔世遺伝によってヒューマンの見た目を受け継いだだけの『小人族(パルゥム)』だ」
ケイト「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!???」
話を付ける為に一時的に乗り込んだ馬車の中から、外にまで響くほどの大声が反響し、18階層に至るまで響き渡った。