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Unlimited【ダンまち】

第81章 結び





隣の子だって顔だけ知ってる程度で、あの時が初対面だった
寧ろ苦手だったと思う


だって…ずっと無愛想で、もっと喋らなかったんだもん
勉強以外興味ありませんって顔して、ずっと本とにらめっこ
運動も私よりできたし、スポーツ万能で成績も優秀…

全然笑わないし、何も話さないし…正直、苦手だった



でも…今回のことで、初めて「好き」という感情を貰ったの



それから…何時間か経った後ね……

昼ご飯もお菓子も食べずに、水筒も飲まずに
私もあの子もピクニックシートに置きっぱなし

遠足でみんな帰っていって、私一人だけ残ったの
無理言って…


それで…すっかり夕暮れになった頃……

警察とか消防とか救急とか、色んな人でごった返していて
その中から、かき分けるようにして…来たの


たったったったったったっ

走ってきたの
肩で息をして、大事そうに、両手で抱えて、ずぶ濡れになりながら…

「これだろ?」
「!」
傷だらけで、ボロボロで、泥だらけなのに
私の大事なものは、綺麗だった

泥なんて、傷なんて、一つもついてなかったの
鳥の青い宝石が胸元に一つついたイヤリング、ネックレスの金属の紐も…

流された後も、必死で探してくれたのが、大事に、きれいにしてくれたのが、一目でわかった


「…うん」

「よかった…」ほっ

「大丈夫?」

「ああ…たまたま浅瀬についたんだ」

淡々と、笑みも浮かべずに、私に言ってきたの

次第に…息が整っていってね?


その後…涙を浮かべる私に

「無事で良かった」
頭を撫でられたの…家族以外では初めてだったの

傷だらけな手(右手)で…笑ってたの、嬉しそうにっ

「大事なものなんだろ?

でも…お母さんの大事なものはお前自身だ


……もう、なくすなよ?」すっ
チャリ

私の右手を取って、
手渡されて、
その時、堰が切れちゃったのよね

男の子達はボコったけど…

ずっとずっと、我慢してたんだけどね…(ぽたっ)←涙が落ちる

「ひっ
うわああああああああ!!」抱き締め号泣
「どうした?どこか痛いのか?」目を丸くする

「うわああああああああ!!
ああああああああああああああああ!!!」

抱き締めて、泣き出す私を見て
掛ける言葉が、そういう…私を気遣う言葉ばっかりでね…

本当……人を大好きになったのは…この人が初めてだったの


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