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Unlimited【ダンまち】

第81章 結び





諦めかけたその時…

「掴まれ!!!」
ピンクの上着を木に結び付けて、私に必死に手を伸ばしてくれたの

でも…あの時の私、どうしても捨てたくなかったの
お母さんからの、誕生日プレゼント

「やだ!!!!」
「え」
気付いたら、目に涙を溜めながら叫んでた

「私の大事なものなの!!
お母さんがくれたんだもん!!
あなたが結婚する時に渡すって言ってくれたのにっ!!(じわっ!)
私が!!私のせいでええええええ!!!
わああああああああ!!!」

「泣くな!!!」
「!!」

「大丈夫だ
俺が取ってきてやるから」
「え」

「あのネックレスだな?」
「うん!」

「わかった!まず掴まれ!!」
「ん!」ひっく涙
ぐいっ!!

引っ張り上げられて、崖から助けられたの
で、上着はそのままで、すぐ取って上がってくるつもりだったんだと思う

でも…

(ガードレールの向こう側へ移動させてから降りて行った
崖の反対側の木、こちら側に向けて伸びている枝の葉先にネックレスが引っ掛かっており、辛うじて届く距離だった)


頑張って腕を伸ばして、後もう少しって所で

上の方で、木が崩れて
私、止められなくて…
恐くて…震えるばっかりで

「来るな!!離れるんだ!!!」
「でも!!」
「来るな!!逃げろ!!!行け!!!
お前まで巻き添えになる必要はない!!」
って、頑固で…誰も、頼らなくって…
巻き添えにしたのは、私なのにっ!

そのまま流されてっちゃったの…

「探してくる!!」
最後にそう叫んだのが聞こえた


「もういい!いいから!!
あなたのことも大事にしてよ!!!」
流されるあの子を、必死に追い掛けながら叫んだの
目に涙を溜めながら…

でもね…

「必ず帰ってくる!!!だから泣くな!!!
いいな!!!?」

「うん!!!」

とても怖かったと思う―
だって身の丈以上の木が流されてきたんだもん
背中にもろに当たったんだもん

でも…そんな様子、微塵も見せなかった


「待ってる…」ぽつり
崖下に、森の方へ木ごと流されていく

遠く遠くへ離れていくのを、見送るしか出来なかったの


駆けつけてきた先生に事情を話して、すぐ手当してもらえるように用意してもらって
私は膝を擦りむいただけだったから

それよりもあの子を!!って、手当を後に回してもらったのよね

傷口を洗っただけで…


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