第81章 結び
自室のベッドに座ったまま、俯き…泣きじゃくるケイトに…
そっと肩に手を触れ、落ち着くまで撫で続けた
事情が事情だけに…とは言え、重圧に押し潰されそうになっているだけではなさそうだ
始祖神が死ぬことの哀しみ、
始祖神が遺したものを少しでも多くしたい、守りたいという悲願、
それが叶わない現実、それを消滅させる癌という存在への憤り、
次期始祖神となった己が癌になったら全て消えるという凄まじい重圧、
ケイト一人しか次期始祖神になれず、もしならなければ全て消えるという現実…
色んな想いが破裂してパンクしたって所かな?
最早一つに絞れない;(顎に手を当て瞑目したまま頭を捻る)←ぐじゃぐじゃ線が浮かぶ
いずれにしても――全世界の命運がかかっているのはわかった
とんでもないものが…君一人の肩にかかっていることも……
ケイト「ひっく、ひっく;;」
フィン「落ち着いたかい?」
ぶんぶん!!
力強く首を左右に振られ、
まだ駄目か、と…抱き寄せて抱き締めたまま背をぽんっぽんっと軽く叩いてそっと撫でる行為を、落ち着くまで取り続けた
ケイト「それ…」
フィン「ん?」
ケイト「落ち…着く、ひっく
あり…がと――」
フィン「ふっ)←微笑が浮かぶ
ああ―――」なでなで
ぎゅうっ
そのまま、ケイトの頭を胸へ押し込むように抱き締め、再び撫でた
ケイト「ひぅ…ひっ…」
未だ流れ落ちる涙は止まらず…
嗚咽が変わらず、喉から上がり続けていた
止まることの無いそれは…流砂のようで、止まる術を持ち合わせていないかのように…静かに続いた
一杯に入った水を押し流すのに、全然出さない
いや…出せない環境に居続けた結果…
出せなくなってしまったんだろうね、それが自然の形となってしまったから…本人にとっては
だから――出すまでにも時間がかかる
寄り添う誰かがいないと、潰れてしまう…
居なかったんだろうね…ひとりも
誰一人として…連れ添ってはくれなかったんだね……
ふと…そんな場違いな想いが、僕の胸に去来していた
僕だけ…か
ふっ、と笑みが零れ出た
誰にもやるものか…と、黒い笑みと共に、自信に満ちた目で
始祖神の隣は僕(滅神)だ
途方もない自負が、確かにあった
誰にもやらない…
この想いはきっと…――滅神としての僕だ