第81章 結び
不本意だと言われようが…人の哀しみは消えない
無辜の死は覆らない
それを減らす努力をしなければ、逆に増やしていれば…そう捉われるのは避けられない、自明の理
それを避けろと、俺に合わせろ寄り添えと、
自分の守りたい人の為には動き、「『その為に一方的に脅かして迷惑を掛けた人達』の為には行動しない努力」を英雄だと賞賛しろと強要する
発端こそ人の為であれど、それ以外の全ては自分の為でしかない
ケイトは、自分自身にも言えることだと言って、気を引き締めていたが…
恩人に自分の罪を引っ被ってもらっておいて、あそこまで無関心でいられる神経は有していないだろうに
なんて想いが去来した
君はああはならないだろう。
という確信が、胸の中に息衝いていた
だからこそなんだろう――
ケイトを癌だと言う(歪める)人に始祖神が怒り、始祖神にああ言う人にケイトが怒るのは……
似た者同士、という奴だ…
まあ…だからいいんだけれどね
要は…人の為だからとか、自分の為だからとか、関係無しに…どんなに切羽詰まっていても、人への配慮を忘れないこと
人への配慮、その努力を忘れない人間を神と言う
たとえ――どんなに寄り添う価値の無い人間だとしても
だから――往々にして搾取され、使い潰され、殺されてしまう
ルアンの母親のように…
寄り添ってくれない人に、無理に寄り添い合わせた結果が、死だ、消滅だ
その人達は一向に…その寄り添ってくれた人達に、何も返さないばかりか、痛め付け殺すばかり、死なせ消すばかりなのに……‥←俯く
癌にケイトが殺された場面が、ふと脳裏に浮かんだ…ありありと、当時の現実を―――
ケイト「フィン…考えるだけ無駄だよ?」
フィン「…
(おや…?
勘付かれてしまったかな?癌のことを考えていたのを)
^^
何の話だい?」微笑
話を逸らすことを選んだ
だが…ケイトは真剣な表情のまま、冷たく言い放った
突き放すように…撥ね退けるかのように……
ケイト「考える時間も手間も惜しい
それをやるのは、寄り添ってくれる相手だけに留めておいた方がいい
いくらやったって、辛くなるだけだ
いくら忠告した所で…親切心を向けた所で…害する為の理由に利用されて脅かされるだけだから
それをしない相手の為だけに使った方がいい…殺される前に――」