第14章 遠征
ぷるぷる
次第に、震えが増していくを感じた。
強く耳に残った言葉が何度も頭の中で木霊する。
『犠牲の上に成り立つ偽りの栄誉は要らない!!
全員、この地上の光に誓ってもらう……必ず生きて帰ると!!』
フィン「どうした?」
ケイト「はっ)!」顔を上げる
フィン「…怖いのかい?」
ケイト「……ううん。大丈夫だ(薄ら笑い)
一つだけ、お願いしてもいい?」
フィン「それは言葉にもよるな」
ケイト「……もし、私に何かあったら置いてってくれ」
フィン「断る。死ぬ気か?」
ケイト「いや…どうせ勝手に治るから言ってる。
それと、それだけじゃない。新種は私の血にもひかれて集まる習性があった。
魔力を特に有しているせいか、魔石よりも食いつきがいい」
フィン「だから囮にしろと?」
ケイト「ん…もし、もしもだよ?
私が…動けなくなったら、そういう仮定の話だ」
フィン「ダメだ」きっぱり
ケイト「!?;いいお荷物に
フィン「じゃあ逆に聞くけど、君は仲間を見捨てて帰れるか?」
ケイト「……私が瞬時に治す」
フィン「だろうね。
それと同じだ。
言っただろう?必ず生きて帰ると誓えと」
ケイト「…うん」
俯きながらも震えが止まらない中、肩に手を置かれた。
フィン「だから君はもう少し頼れ。
負担になることを恐れるな。それで見捨てるほど落ちぶれてもいない。
少なくとも、僕の属する【ファミリア】にはそんなことができる人は一人としていない。
だから敢えて言おう。
お荷物になる程度、それがどうした?
たとえ死のうが生きようが引きずってでも連れ帰る。
だから荷物になるかどうかは気にしなくていい。
君はただ、目の前の戦いに勝って生きて帰ることだけ考えていろ」
ケイト「…ふっ…ははっ」微笑
フィン「少しは吹っ切れたかい?」片目瞑&笑
ケイト「…うん。先のことを恐れてても始まらないもんな。
ありがとう。ちょっとだけ、楽になった」
フィン「ちょっとだけ、か。
レフィーヤが18階層で闇派閥を見つけた件もある。
正直言ってどこに潜んでいるかわからない。不安にさせる気はないんだけどね(肩すくめ)
済まないが君の探索魔法が頼りだ。頼むよ」
ケイト「わかってる!任せて!!」
そう話し合った後、中層に入ってから外へ出て一緒に皆と歩き始めた。