第81章 結び
何も出来ない自分を愛してもらうことで、愛されていい自分を知る
それを知らずに育った
愛情は、人から貰うもの
愛情を与えられずに育った
自己肯定感を持てずに育った
自分そのものを愛することが出来ない
その根幹は――周りの環境だよ
助けて、も
頼ることも
何も言えずに育ったから
何を言っても、←手を伸ばすケイト
何を伝えても、←裾を掴んで溢すように声を出す
何も受け止めてもらえずに←咽び泣き右掌で右目元を、左手の甲で左目の下に落ちそうになる涙を乱暴に拭う
誰も見ず、聞いてくれず、わかって(理解して)もらえず、
ダレからも向き合ってもらえずに、←両膝を抱え、真っ直ぐ眼前を見据え、鋭い眼光が光る
いたから――
居ても居なくても同じ
消えても消えてなくても同じ
いっそ消えていた方がいい
その方が負担もゼロになる
悲痛な想いにも、痛みにも、鈍麻になって…消えていった
自分はどうでもいいものとして、確立してしまった
心も感情も何も要らない
誰も必要とはしていない
己すらも
だから自分を愛すること等出来ないし
よしんば出来たとしても――愛せるのは人だけだろう
その特性も、個性も、ちゃんと理解して(わかって)いる
それでも――愛したいんだ
隣りに居て欲しいんだ
今の君に
誰にも、自分を許さない自分を――確固たる想いで貫き続ける君に
人に同じ痛みを与えまいと頑張り続ける、人の為に努力する生き様として――でしか、己を示せない、出せない、不器用なキミに
無自覚だけれど
人を愛することは出来ても、自分を愛することは出来ない
人を大事にすることは出来ても、自分を大事にすることは出来ない
そもそもが、満足に貰えずに育った
貰えても母や姉だけだった
だから自分に気を許すことを無くし、感情を無くし、痛め付ける対象として見て、痛め付け続け、笑った
ずっとされてきたように――
痛みが君をここまでにした
誰からも貰えない温もりが君をそうした
与えればいいと思った
溢れ返るぐらいに…いっぱいに
だがもうそれは――氷河なんて域を軽く霞ませる程に、鈍麻にさせていた
だからなんだ?とばかりに
冷たい目にさせてしまっていた
もう完全に、一人としての個として完成してしまっていた
もう取り戻せない