第80章 願い
世界の基柱(きちゅう)
ケイトは口元を覆い隠し、満足気にほっこり顔で笑っていた
始祖神『優しさだよ
一方的な優しさと
相手に寄り添う優しさ
どうか――認識を違えないようにね
壁を置いて、好きにさせてやりなさい
何の為に人柱となったのか――
どうか――――忘れないでね』
後の時代――
遥か遠くにおいて、融和時代は―共和時代と呼ばれていた
融和を願っていた
だがそれぞれの願いは違う
だからこそ互いの願いを重ね合わせること、それを共に叶えることを重視した結果、融和ではなく共和時代と呼ばれ、末永く語り継がれることとなった
5000年もの時を超えてもなお――それは遺り続けた
旧時代の遺物として
死は誰しも訪れるもの
喜ぶのはあの世の人達
この世の人達に出来るのは、見送ることと幸せを願うこと
その本質を見失っている人達の方が圧倒的に多い
あの世の方が害されることはないし、絶対的な安全な世界
目に見えるものだけに囚われ過ぎている、この世の人達は
自分が自分がばかりで、肝心な部分を蔑ろにして、自分も人も大事にしている気でいる
大事なのはそこじゃなくて、偏った見方や考えに縛られず、慮ること、目を向けること、寄り添うこと
その時点で蔑ろにしているのに…
浅はかな人が増え過ぎている
だから間引く必要性が多くなる、殺されていく
サクラ『ダメ…!!
戻れなくなってしまう』
剪定者としての人格
剪定とは
その過程の上で成り立つもの
選定者という意味もある
実在するに能う世界か、『選び、定めるもの』
もう8割方飲み込まれている
人格の統合
心を強く持ってとしか言えない
眠気が酷い状態になる
主軸が強く出る、その影響で…飲み込まれる
始祖神『自分の思い通りの為に、一方的に人を歪めて、苦しませることを正当化する
それは一面よ
偏った見方で真実を歪め、人を好きに扱って善だと歪め、歪めることを全体に求めるばかりで、ちっとも中身が成長しないから
認識を違えて、繰り返して、自分の好きにしかしない
人の為に、自分のやりたいそれを押し殺してまで、合わせようともしない、寄り添おうともしない
その身で何を責められると言うの?
何を正しく評価できていると言うの?
認識さえも偏った見方で凝り固まるのに?』
『それが癌だ』総意の一致