第14章 遠征
ラウル「あ、それそこの箱の中に入れてもらってもいいすか?」
ケイト「了解!
って液体?怖い怖い怖い落ちるうううう;」がたがた
ラウル「落とさないで下さいっすよ!?;」
ケイト「落とすなと言われたら落とす以外ないぞ!?;」
ティオネ「何とんちんかんなこと言ってんのよ!!;」
ケイト「何かわかんないけど震えが止まらないんだあああ;
落ちる!間違いなく落ちる!!;」
『落とすな!!;』
ケイト「これ絶対高価なものだ!これ絶対高価なものだ!
落とすなと身体も言っているうううう;余計緊張するううう;;」
ラウル「当然っすよ。エリクサーなんだから!;」
ケイト「やっぱり高価なんだああああああああ;;;」いやいや←首を必死に横に振る
リヴェリア「浮遊と魔操作を使えば事足りるだろう。手も使わなくて済む」
『……あ』
変なやり取りを前に、僕は苦笑を零すばかりだった。
それからケイトはアイズも浮かせて飛ばしていた。
ケイトが言うには、一昨日の晩に言っていた「昨日空を飛ばせる体験をさせる」ということを忘れていたそうだ。
心の拠り所となっていたフィアナ…それをいないからと言って、なかったことにできるほど歴史は浅いわけではない。
人の歴史、長年に渡って脈々と受け継がれてきた想い…様々なものを加味した上での答えなんだろう。
実に…興味深い。神に媚びず、恥じない生き方だ。
堂々と貫かんとする姿勢も生き様もまた然りで、そう思う人がいてくれたことが、心からの救いになった。
真剣な面差しで自分の抱く考えを語ってくれたあの時…とても安心した。
心のどこかで、夫婦になるからだと、付き合い始めたからだと思いかけている自分もいた。
そうじゃないことを聞いて、その考え方を聞いてほっとすると同時に嬉しかったんだ。
長年待ちわびた答えを持つ人が、ここに居てくれたから――
その想いと共に涙がふいに溢れてくる中、ケイトのいる方向を見やった。
すると
ケイト「鬼は~外!福は~内!」
…何をやってるのかな?;←涙が引っ込んだ