第79章 合一の先
一人の集団の為だけに、全てが滅茶苦茶になり苦しめて回る
皺寄せを強い、対価を支払わず、好きにし続けた結果、消えた
全てが消える、世界単体で
その癌とは対極に位置するもの
それが次期始祖神の証
剪定者(せんていしゃ)――またの呼び名を、裁定者(さいていしゃ)
それが目覚めた…
癌かどうかの判断を決して違えない
それが――始祖神の真たる後継者の証
絶対善となる、唯一無二の根幹
始祖神の主軸、決して揺るがない絶対善そのものを司る根幹
剪定者
それは…全ての世界を木として
滅する世界か、実現させる世界か
その剪定をする権限を持つ魂そのもの
ここで言う剪定とは…世界や魂の生長を促進したり、病害(癌)を間引くことで予防することを意味する
その権限を持つのが…始祖神、そして……次期始祖神のみ
あまりにも大きな宿命故…世界の『鍵』と呼ばれることもある
それが存在するだけで、消えない世界となる…唯一の肝
声が聞こえぬ内はと言っていたのは……剪定者としての声、さっきの言葉(ケイトではない声)か…!!
ケイト「私を…守ってくれて……愛してくれて…ありがとう」微笑
ケイトに戻っていた
未だローブ姿のまま…しっかりと、はっきりと自我を持ったまま、言われた
新たな重苦しい事実に…僕は顔を顰めた
滲む視界に、抗えず…
何も言わずに抱き締めた……
不意に涙が零れ出ては止まらなかった
君はいつだって…人ばっかりだ
自分がこんな状態なのに…
いつ、剪定者としての人格に乗っ取られるかもわからないのに
僕等のことばかり!!
そう、歯噛みする中…ケイトは唇を奪って、静かに笑い掛けて来た
フィン「瞠目)!……」瞳が揺れる
ケイト「………
大丈夫…
目から、声がする…そんな程度の認識だよ?
だから――どうか、不安にならないで?」微笑
フィン「…」じわっ
ケイト「俺…決めたんだ
自分で、自分の意思で…
俺は、人間として生きて、人間として死ぬ…
ちゃんと年を取るようにして、67歳で……
人へついつい優しくしようとし勝ちで、線引きが中々難しくって、苦しんだりはするけれど…^^;←苦笑し頬を掻く
皆がいるから←微笑
限られた時間だからこそ、意味があるから
頑張れるから
だから――…皆と、生きていきたい」微笑