第79章 合一の先
俺は…確かに滅ぼしてはいない、殺してもいない
だが…厄災と呪いを齎したことは、間違いのない事実なんだ
たとえ…悪い人達限定だとしても
だから……
せめて―――最期ぐらいは、好きにさせてくれ
「この命…お返し申す!!!」
『!!?』瞠目
原初の神、始祖神の衣によって蘇らされた命…
そこから魔法は拡まった
どんなに辛くても…苦しくても……生かされてしまった
あの当時のままに……
彼の想いが、伝わってきた
「ありがとうっ」ケイトの方へ振り返り、涙ながらに礼を言う
声が泣いていた
小さく、消え入りそうな声で…
手を伸ばすも、それは…空を切って、小さな光となって消えて行った
自ら……その命を、仮初めの時を、返した
救いを齎される為に、俺は…生きていたんだな
妻の命を懸けた願いに生かされた、辛いだけの日々、地獄…
そこに温もりを、光を、取り戻して、優しく包み入れてくれた
ケイト「ぁ←震えた手と声で、白いローブに手を伸ばす
ぁっ(わなわな)
……っ←震えながら、白いローブを掴む
うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああっっ!!!!!」残された白いローブを抱き締めて泣き崩れる
泣いてくれて…ありがとう
そこまで大事に想ってくれて、ありがとう
俺は…生きていて、本当によかった
憐れまれるぐらいなら、死のうと思っていた
だが…こんな穏やかな死を迎えられるとは、想いもしなかった
報われる日々を過ごして欲しかった…その想いは、十分に、伝わっている
「どうか…どうか……‥この人の道に、幸多からんことを」
ケイト「!!」
白いローブから、声が微かにした
ケイト「っ(じわっ)
ぅっ
馬鹿はどっちだよっっ」涙
「俺は十分…報われたよ
出会えて…話せて…ぶつかり合えて……本当に…よかった
俺はやっと…俺を出せた……
感謝する…心から……(微笑)
ずっと…見守っているよ」憑き物が落ちたかのような穏やかな笑みを浮かべる
そう…小さな光になって、命を繋ぎ留めていた衣から、完全に力が、魂が、天へと昇って、消えて行った
生きろよ――馬鹿野郎
最期に、小さな声が聞こえた
光の者、天国行きの者だったようで、あっという間に幽界へと昇っていった
ソフィアが待っている、と声がした…