第79章 合一の先
肩に手を置く僕に
ケイト「…」ぼろぼろ
フィン「不安にならないでいいんだよ」微笑
ケイト「っく」
瞑目し、泣きじゃくり出した
誰だって間違う――
だから…不安だったんだろう。
癌ではない、そう確かに断言を受けた。
だが…それでも…癌になる可能性は変わらず付き纏う。
だから……癌の部分は、全く無いとは言い切れない。そう思ってしまった。
だから…誰にも言えないまま、胸の内にしまったまま、苦しみ続けていたんだろう。
同じように、そっちに行ってしまったら、ひとりになってしまうと。
させたくはないと…
だが、それそのものを拒まれて、在り方そのものを否定されたように感じて、助ける手段の全てを奪われて――八方塞がりに陥って、悲嘆に暮れて…それでも助けたくて…でも無理で……消えていくのを、黙って見ているしかなくて……
どうしようもなく歯がゆくて、でもそれそのものもまた無理強いなんじゃないかと思い始めて…より一層苦しい想いに駆られていたんだろう……
癌の救済は、現実にはなり得ない…
だって…既に、決まっているから……
癌は決して、自分が悪いとは思わない。
全体に合わさず寄り添わず、それさえ自分に都合よく歪めて回って、笑って自分の好き放題に動き続ける。
何度も繰り返し、忘れ、再び痛め付け、笑い続けてゆく。
自らが犯した罪に、償うべきとも思わぬまま、繰り返し、膨張し、自らを壊し、数多の人々を巻き込み、死に、消滅に、至らしめる。
動いてくれるもの、優しくしてくれるもの、罪を被ってくれるもの、後始末で家族を殺された後もなお守ろうとするもの、皺寄せで苦しみそれでも信じようとするもの、
それを一方的に利用するばかりで、搾取するばかりで、それに見合う行為も何も返さず、守ろうともせずに、優しくも動きも何もしてはいない、後始末もしようとさえしない。
そんなものが図々しく笑って、いい人だと全員から言われ、癌に都合よく歪められた善悪とも気付かぬまま鵜呑みにし、共に「歪んだ善悪の無理強い」をして回る教信者という集団と化すような社会になれば…全てが終わる。
だから癌は、救われてはいけないし、救ってもいけない。
癌の救済そのものが罪になる。
だから…「癌を救おうとしてはならない」という規定も、その時に出来た。
それが建国神話、第1章…――「癌の末路」だ
