第79章 合一の先
前世の僕の父は屋敷の外で、奥にある僕の部屋にまで聞こえる程の大声で言った
それは常々言っていたことで変わらないことだった
だが…怒りに震えるケイトを見て、このままではいけないと強く想った
気付けば、動いていた…
―前世ケイト(足軽で男)視点―
「お止め下さい。迷惑です」
私のマゲを、震えた手で引っ張って、そう言った
声は震えず、気丈に振る舞い、凛とした態度であった
涙を微かに浮かべながら、懸命に、さも迷惑そうに、表情を向けてくれた
家の為に、私の為に、双方の為に、止めてくれた
自分よりも、
こんな時なのに、人を、私を優先してくれた
見てくれた
この人だ―
こやつ以外、いない
そう、強く思った
「父上が思うのも、当然のことです
武家の娘としての、勤めなのですから」
震えた声、震えた手、自らの肩を擦る、青ざめた顔
それらを見て、決めた
私「ここから出よう!」格子越しに肩を掴んで言った
「えっ、でも」
私「私の嫁に来てくれ」
当日中に!!?←聞いたティオナの反応
で?なんて?←周囲の反応
「からかっているのですか!」
私「私は本気だ!」
「同情等、真っ平です」目逸らし
私「迎えに来る
あなたがここにいることに、私が耐えられない!!」
思いっきりナイトじゃーーーん!!!←ティオナが叫んだ
「なっ(ぱくぱく)
父が、許すはずが
私「そなたの許しさえあればいい!
そなたが好きだ!!」
「っ(目潤ませ)
っ(俯)
――――っ//」
私「迷惑か?」
しーん
私「――嫌か?」恐る恐る
「そんなことは!
ありません」
私「そうか…」ほっ
「父の意向もありますので
私の、一存では」震
私「わかった
無理強いはしない
でも、後腐れのない道を選ぼう
そなたの為にも…
必ず、迎えに行く」
「はい…
お待ちしております、心から」
涙を零すのが、遠目に見えた
だが…
その顔は、笑みに包まれていた
それがとても――喜ばしかったんだ
馬で帰って、それから支度を整えて、先文(さきぶみ)を出して、準備を全て整えてから赴いた
万全の支度をして
金を求められれば金を出し、土地を求められれば出す覚悟だった
家を失っても良い
差し出せるもの全てを差し出す覚悟であった
が…
馬一つで済んだ