第79章 合一の先
生贄、人身御供
不意に、そんな言葉が頭に浮かんだ
思わず頭を振った
ケイト「っく、ぃっく」
しゃっくりを上げながら、肩を掴んで抱き締めてきた
変わらず背に腕を回して抱き締めたまま、再び背をとんとんとあやすように優しく叩いた
すると…程なくして、震えは収まった
フィン「落ち着いたかい?」
ケイト「…んっ;(こくり)
ありがとう;」ぐすっ
ごしごし
フィン「もう少し泣いててもいいんだよ?」両腕を拡げ、両手を広げる
ケイト「いい!
それでも進むと決めたから…
前に進むと…生きて行くと!
決めたから!」
真っ直ぐ、前を見据えてはっきりと言葉を続けるケイトに
敵わないな
眩しいったら無いよ^^(ふふふっ)
そんな想いが、心に浮かんだ
フィン「本当に…強いね、君は」
ケイト「お前がいたからだ
お前がいて、会えて、ここまでの時を乗り越えてこられた
それは紛れもなく財産だよ」真剣
フィン「ははっ^^」
表情も崩さず、ケイトは真っ直ぐに前を見続けた
フィン「…………
僕もだよ(微笑)
沢山…救われてきた
ずっと…ずっと……
ありがとう」ぎゅうっ←背に腕を回し、抱き締める
ケイト「うん…(じわっ!)←微笑しながら目を細め、腕を背に回す
こっちこそ、ありがとう」ぎゅうっ←瞑目し、微笑みながら強く抱き締める
再び抱き締め合った
君は…前世から変わらない
いや…根幹なのかな?
僕が惚れたのも、君が惚れたのも……
前世の記憶が、不意に差した
前世フィン「駄馬の代わりに手に入れた私がそんなに大事ですか?」
前世ケイト「ああ――
何者にも代え難い大事な存在だ」
前世フィン(その時から…私は決めたのです
必ず…必ずや…お力になろうと
絶えず、支えとなろうと)
これは婚姻前…
前世、武家の娘であった僕の家は…加賀藩よりも西に位置していた
父「お偉方に嫁にねじ込んでやるわ!
家に役立てるだけ有り難いと思え!!
なんの役にも立たないごくつぶしが!!!^^」がはははは
前世の君は、それを聞いて腰にある脇差しに手をかけて飛び出そうとした
それを止める為に、君のマゲ(一つ結びの先)を掴んだまま
建物の格子越しに、言った
僅かにつんのめり、僕の手に引っ張られた体制のままの君に…
「お止め下さい。迷惑です」