第79章 合一の先
『下垂体』が魂の基本の位置。←4129ページ参照
『下垂体』は両目の間、頭の中心にある。
つまりは…本来であれば、額ではなく『目』に現れるはずだ。
『額の紋様』とは…魂に近い上丹田(額の中央)に、直接魂の力を送り込み他の丹田も込みで集中させ、互いに増幅し合った結果なのだろう←3995ページ参照
『神紋』とは、額の紋様として集中する以前のもの、3つの丹田全てを繋げ合い増幅させる紋様だ←2194ページ参照
合一化の先――それこそが『フロー』
その先に行くとなれば…
恐らく、避けられないことだろう
丹田という次元を超え、魂という枠組みも超え…その先は……恐らく………
そう憂慮する中、頭の奥深くで、先程のケイトの目が、当時の光景が、ありありと浮かんだ←4308ページ参照
すぐ横でケイトは笑って、小舟を操作して遊んでいた
アルとディはすぐ横で、帽子を被ったまま飛び込んでくる水(本物の水)に、キャッキャッと満面の笑みで笑い声をあげていた
フィン「ケイト………」
ケイト「んー?」微笑
くいっくぃっ←帆の糸を引いて操作している
フィン「………‥君は……
まだ………
癌が憎いかい?」
ケイト「当たり前だろ」
フィン「!!」瞠目
何を言っている、とばかりの返事に
そして…ケイトの目が、再びああなっていたことに…
僕は驚きを隠せず、目の前の変化にただただ狼狽し、瞠目するばかりだった……
フィン「ごくり」
思わず喉を鳴らす中…怨嗟のように語られたそれは……とても、重苦しく響いた
当時は気付かなかったが、僕だけにしか聞こえないように発していたらしい
ケイト「フレイヤ・ファミリアの好意に泥を塗った
フレイヤの意思を受けて、団員達の皆は押し黙っていた
汚名を晴らすでもなく、最初に襲撃をしたのは癌だとギルドに言うでもなく、癌を守りたいというフレイヤの意思を、言葉を、汲んで…
ずっとずっと、守ってきた……
命懸けで守りに行った、あの時から――
イシュタル・ファミリアもだ
癌が守りたかったものを、守りたかった
だから最初に襲撃してきた癌の存在を漏らさなかった
そうしてでも守りたかった、たとえ…自分の目の前で、恩恵も無いことで次々に殺されていく中でも
その中で…たったの一度も守ろうとも、気に掛けさえもしなかった癌をも」