第3章 家族として
鬼気迫る表情で最早何が起こっとるのかわからんぐらいの速度で蹴り飛ばし斬り続け、最後には階層主の頭を掴んで地面へ投げ付けて落ちる勢いを加速させながら首を斬り裂いて倒した。
最後の動きしか見えんかったな;
今までに見たことの無い表情やったけど、護ろうとする意志が強く感じられるほどの真っ直ぐなものだった。
ケイト「はあ…はあっ………モン…スター……」ふらっ
ふらつきながら周囲にモンスターがいないかを確認しながら前へと突き進んでいた。
うちらに目を向ける余裕も間も無くて気付いてへんみたいやけどな。
まあ無事で何より
どすっ
『!!(剣!?』
ケイト「げふっ」喀血
ばたっ
その時になってやっと気付いた。
ケイトの傷が、モンスターによって与えられるそれやないことに。
街の人に石や剣を投げ付けられながら倒していたことが明白だった。
それでも咳き込みながら、必死に立ち上がっていた。
ケイト「こふっ…かひゅーっ……敵…は…」
がんっ!(頭に石が当たる)
ばたっ(再び倒れる)
何や…この状況は?
護ろうとあがく者・それに対して護る対象の人達から投げつけられとる。
必死に上体を起こした折、アイズが正面から抱き締めた。
アイズ「よく…頑張ったね」なでっ
ケイト「…モン、スター…どこ?…皆…無事?…だいじょ…ぶ?」
途切れ途切れに紡がれた言葉は、どこまでも人のことを案じていて…
正面から抱き締めるアイズに、周囲との差に腹立った。
ぎり
歯ぎしりする中、そう思ったんはうちだけやないようで…
ざっ!
この状況を見た上級冒険者達の反応は早かった。
状況は掴めんでも、護ろうと必死に動こうとしとるケイトへの攻撃を止めたかった。
言わずもがな、アイズはケイトを自分側へ引き寄せて、他の皆はケイトと街の人達の間に立ち塞がったんや。
まあ、思わずうちも動いてしもうたけどな。←同じく立ち塞がった