第78章 火の都
直後――炎が降った
ケイト「!!?」瞠目
それに、僕等も驚きを隠せぬまま瞠目した
天の炎…そこから、狙撃されたらしい
亜種の黒竜の霊体は為す術もなく消え失せ、少女は元の形を取り戻した(霊体と一つになり元通りとなった)
少女の怨念が生霊、怨念かつ怨霊となりて、背に乗って暴れるよう示していた
だが…オリンピアの結界と、空中都市の結界は全く同じ性質を持つ
別物ではあるものの、すり抜けて気付かぬ内に、その内に入っていた
それに伴い、狙撃対象となった為、入った直後に狙撃した…といった所だろう
そして……ムー連邦の真上に位置する水上都市、精霊王の森にも、同様の結界があり、繋がり合っている
ちなみに言うが…
他の亜種の霊体もいない
いや…いなくなった
穢れた亜種の黒竜がフローブラストにやられた
その直後
羽――宿した少女が怪しく光ると同時に、先日倒された亜種の霊体3体が暴れ出していた訳なのだが……
どうやら焼き尽くしたらしい、天の炎が
不浄の存在を、邪念を、邪な行為を…その全てを――
穢れた亜種の黒竜は…何のドロップアイテムも残さないかと思われたが…そんなことは無く
他の2つ、同じく襲撃のあったムー連邦と精霊王の森は、ドロップアイテムによって無事、難無く防げていた
結界を通じて、天の炎が消しに来るまで
だが…こちらは少々事情が変わっていた
当時、穢れた亜種の黒竜からドロップアイテムが出なかったのだ
いや…背に乗っていた少女の内にあった羽に取り込まれていただけなのか…
天の炎に空中都市ごと包まれた後、その羽の中から出て来た
ケイト「…あ!」
右手にある羽から、零れ落ちる
そのまま…
天の炎の真上に位置することもあり、下へ、下へとすり抜け、落ちて行った
そのまま緩やかに、一滴の雫のように降りゆく光景は…神話としても残されている
炎のように、色を変え、形を変え、輝きを増しながら、天の炎へ向けて、真っ直ぐに落ちて行った……
まるで――
プロメテウスの火を、その再来を、示すかのように―――
その光景に、固唾を飲んで見守っていた
煌々と赤く輝く炎――それは、未来永劫続くことになる
それと共に、オリンピアの呼び名は変わる
これまでの「古都」ではなく、『火の都、オリンピア』と―――