第78章 火の都
断末魔が響く――
低く、重く、轟く―――――
こればかりは、避けようも無かった……
だが…………
一つだけ、予期せぬことが現われた
フィン「!
少女?」
リヴェリア「!小さいな…」
見つけた直後、黒竜の背に乗っていた少女が消えた
いや――
姿を消し、隠れ、潜んだ
亜種の黒竜が霊体となり、暴れ出した
攻撃を始める中、結界は事象を止めるので精一杯だった
国と生物皆を神の力で覆い、守った
結界の入国振り分けの効力は、事前から既に穢れた魂や霊体の侵入防止にまで及んでいる
ケイト「ごめん、守るのに専念したい
頼ってもいい?」
リヴェリア「やっと頼ったな」ふっ
次の瞬間、霊体と神以外が察知出来ない、無差別攻撃が始まった
少女の形をした霊体が一人、サクラの元に現れた
ケイト(間違いない――――
あいつだ!!)←2954ページ参照
血相を変えて走り出すケイトを止める者は誰もいなかった
その霊体は、神器持ちにしか浄化出来ず、僕等も奔走することとなる
サクラ「?」
小狼「どうしたのですか?姫」
サクラ「えっと……小さい、子が」
黒鋼「?何も見えねえぞ?」怪訝
ファイ「サクラちゃんにしか見えてなさそうだね」こそ
断末魔が神殿の間近で起こった為、異空間トンネルを使って他の避難所へ移動していた
だが…道中に、泣き崩れる少女が見え、思わず足を止めて外に出るサクラに釣られ、皆もまた出ていた
サクラに見えていたのは…膝を抱いて前に屈み込んでいる小さい子だった
サクラ「どうしたの?
迷子?」
少女『お姉ちゃん――私が見えるの?』
サクラ「うん…見えるよ?」
少女『そう……
(すくっ)←立ち上がる
なら――死んで』ばっ!!
その眼は黒く、瞳も虹彩もなく、闇の力が襲いかかろうとしていた
一点集中の如く闇の力が集っていった
小狼「!!(攻撃!?」ばっ!!←間に割って入る
すっ!!
それは全てをすり抜け、何者もの制止も効かず、サクラへ襲い掛かる
体内にある『サクラの羽』を――完全に我が物とする為に
ケイト(間に合え!!)
それが眼前へ迫ったとほぼ同時にケイトが駆け付ける
己も守りつつ、サクラも守ろうと力を無制限に強める
その、サクラを庇うと同時に――槍が割って入った