第78章 火の都
それに、怒って責めたら…
癌を責めたんだから、責めてきたお前らを責めてもいいよね?怒ってもいいよね?って理屈を押し付けてくる
その死は、仕方ないって…
だから、「『一方的に巻き込まれた、殺された人』の想いを汲まないことも、合わさないことも寄り添わないこと」も、仕方ないって…
でも、「癌のそういった言動」への怒りは、責めは、
『死者の想い』を汲むからで、大事な人を二度殺させない為にであって…
死者の想いを汲んで怒っている訳でしょ?
なのに…さ……」
言葉に詰まったようで…左隣を見ると
俯いたまま…震えた声で、身を震わせながら…懸命に言葉に起こそうとしていた
ケイト「そんなの…変だよ
おかしいよ
やれ切れないよ…
あんまりだ…
こんなの………(ぽとっ)←膝上の拳に涙が落ちる
あんまりだよっ…‥←双眸から次々落ちていく
死んだ方がいいってのかよ
想いや都合を汲み取れ、仕方ないことなんだって
押し付けてる側はいいよ、大事な人も何も喪ってないんだから
『一方的に奪われた側』はどうしたらいいんだよ…
「何一つ汲まないで繰り返す人間」に何も怒るなって押し付けんだよ」
フィン「無責任だ」
ケイト「そうだよ!!
二回も殺しといて何なんだよ
優しいって、いいことだって
そんなの…あんまりだ……
あって…堪るか!!」ぽとぽと
辛酸を嘗めるように表情を苦悶の如く歪め、涙を次々に零す
ケイト「あれだけやっといて、責めるなって何だよ…」
フィン「君は…感情移入が激しいというか…
死者の想いを汲み過ぎ…
いや、「全く合わさない、寄り添わない側=癌」になるよりは余程いい
なるほどね…そういう意味で、苦しめて回るということか」
ケイト「うん…(ぐすん)
ああいうのを二度殺すって言うんだよ
一方的に押し付けて殺して、またその想いを自分に都合よく歪めて殺してる」
フィン「うん…本当にね」頷
納得した
と同時に呆れもした
癌の真髄(根っこ)に
始祖神「…
『『人』にとっての価値、大事なもの、想い』に「合わさない、寄り添わない」
『それ』を「自分に都合よく歪める」
その「性根」を、「癌」と呼ぶ
最も愚かで、罪深い行為
「そこ(中身、本質)」が変わらない限り、「癌」の道から脱することは叶わない
よく覚えておきなさい」