第78章 火の都
余波で傷付くものもいない
巻き込まれるものもいない…
誰も巻き添えで死なず、皺寄せに苦しまない
『全部守る』という…『全部にとっての理想』を果たす……
生きていても、死んでいても、誰も、粗末にはされたくはないだろうから――←4216,4246ページ参照
わかったんだ―――――
「癌」の「粗末にする在り方」を選ぶか
『神』の『粗末にしない在り方』を選ぶか
二つに一つなんだ
元から全部が全部闇では、ただの邪念の塊でしかなく、魂ですらない
光でも同じ、清浄な念の塊だ
だから…光も闇も、双方あって初めての魂なのだから……
だから―――どちらの在り方を根差し、自身の魂に課すか
自身の魂を光そのものとする
『神』の『自身の闇を、光として一つにする在り方(想いごと寄り添い、粗末にしない行為を取り続ける)』を選ぶか、
自身の魂を闇そのものとする
「癌」の「自身の光を、闇として一つにする在り方(想いごと粗末にする行為の正当化に凝り固まり続ける)」を選ぶか
それだけだった―――
それだけの、単純な話だった―――――
うん…
簡単な話でもないんだが……
粗末にして、それを正当化して繰り返し続けるか(癌=堕落)
それを減らそうと努め、粗末にしないよう頑張るか(神=成長)
ってことだろうね
最終的な選択――それは結局、自分次第…という訳だ
癌に染まるのもまた自分次第であるように――どちらに揺り動くのかもまた自分が決めること…人を癌に染めたら癌になるように、行動如何によるものだから
癌についての解明は済んだ
要は、『粗末にしないよう頑張り続けること』が肝心
(粗末にしてくる相手はまた別)
それでこの話はお終いだ。
ケイトに結論を伝えると、大いに同意を貰った。
どうやら正解だったようだ…
こうして――癌への探求は終わった
水布団と水毛布に包まれ、これ以上ないとろけ顔で安眠に勤しむヘルメスの姿が、宣伝として都市内で散見されることとなった
スカイリング大会の開会式は、空中都市にある空中庭園である
『空中レース』なのだが←3509~3514ページ参照
スカイリングのプロリーグが開催されることも受けて
それならば、と…『スカイリング大会』と名を改められた
それが…いよいよ始まる