第78章 火の都
龍神「お主の祖先、ヘレイオスの妻の真の名は…
ケイト――
ケイト・トエル・ウル・ラピュタ
お主の一族、パルゥムの中でも十字架と共に受け継ぐ名だ」
ケイト「………は?」
フィン「ああ、そこは予測はついてた」
リヴェリア「ああ」
ティオナ「でも宿ってたのってフィンの魂だよね?」
フィン「ああ」
龍神「我の力を自在に行使し、我よりも強く、優しく、寄り添い、慈愛に満ち、慈悲に富んだ方だった
民を一人として、決して見捨てることも無く…
死(最期)の瞬間まで寄り添い、守らんとした……
結果は知っての通りだが…それもあって、王族として成り立って行けたと言っても過言ではない……
代々、我(龍神)と精霊王と雷神トールの血を継いだものは霊感を抱く
そして…遺しておいたのだ……
その魂が宿る時…世界は満たされ、救われるであろうと――
そのものに、この名を付けよ――ケイトと」
ケイト「盛り過ぎだろうがあああああああああああ!!!!;」
龍神「盛って等おらんぞ」訝し気に眉を顰め、?を浮かべる
フィン「ああ
うん、そうだね
君にとってはそうなんだろうが……あー…;」
リヴェリア「兎も角…純粋という意味合いだけでなく、つけるよう諭された、と」
アスフィ「伝承によって」
リュー「ですね」
アイズ「でも…父親が、付けたんだよね?」
ケイト「そうそう!」二度頷く
ティオナ「どういうこと?
あれ?
受け継いだのって、お母さんだよね?
何でケイトって知ってるの?」
リヴェリア「偶然だろう」
フィン「いや…偶然ではないよ、多分…
言うなれば…これは…そう
必然…かな?」
ケイト「……‥知らなかった」
龍神「当然だ
パルゥム内で、ケイトの名は好まれて使用されてきた
ヘレイオスは王として君臨も統治もせず、女王を守り補佐に徹していた
あくまで…あくまで、だが……
ヘレイオス街においては、殊にパルゥムにおいては、神聖な名として遺されていたはずなんだが…
な」
フィン「伝承も口伝ということもあって、曖昧な部分が増えていき、伝言ゲームのように本来の意味合いが伝わらなくなって、認識が変わっていってしまったという訳か」
龍神「そのようだ」深々頷く
ケイト「……そっ、か…」
言葉を詰まらせながら、俯いた
そうか…知らされていなかったのか