第77章 新時代の幕開け
ずっとずっと泣き崩れている根幹が、少しでも幸せでいて欲しい…
報われて欲しい
そう思わずにはいられなかった
その言葉に応えるかのように…日は陰り、だが光はより一層増して僕等を照らしていた
大丈夫だよ
と言うかのように、笑うかのように…さんさんと光輝き、僕等を優しく、温かく包み込んだ
大丈夫――ちゃんと見てるから
その声が、確かに響いた(届いた)
フィン「ケイト…」
ケイト「ん?」
フィン「…‥大丈夫だ」
ケイト「……うん」
フィン「…世界も、皆も、ちゃんと、見てもらっている
癌になっているか、なっていないかも、きちんと…しっかりと…‥
だから…君が、不安になることは無いんだよ?」
ケイト「うん…」ぽとっ
フィン「だから…気に病むな」なで微笑
黄昏時、半分が夜に包まれる
遠くで微かに紅色に光り、僕等を包む
リュー「!
来ます!」身構え
ケイト「ごめん…‥無理だよ」
フィン「!」瞠目
ケイト「無理だ…
耐えられない
繰り返したくない
あんな救われない存在…最初から生まないでよ
見えない場所に居てよ―っ」涙目震え
フィン「ケイト…僕が言いたいのは、そこじゃない」
ケイト「?」
フィン「不安になる必要は無い…
君は…誰よりも、人を見てきた
その根幹を、大事にしてきたじゃないか
だから――癌にならないよう心掛けていればいい
後は、堂々としていればいい
人が癌になろうが、君が動じる必要は無い
そこを言っているんだ、僕は」真剣←両肩を掴み、言い聞かせる
そう言い切ると同時に、暗闇が迫る
紅色の光が消えたのは…
ケイトからの返事を聞いた時だった
ケイト「それじゃダメなんだよ」
フィン「!」
ケイト「ダメなんだ…繰り返しだから」
フィン「どういう…」
ケイト「だから…悩んで、悩んで、悩み抜いて、生きなきゃダメなんだ
放棄しちゃ、ダメなんだよ」真剣←白い光が頭上から降ってくる
フィン「!」
ケイト「私は――足掻く!!←胸の前で左手で拳を握り締める
足掻いて、足掻いて、足掻き抜く――!
死ぬ最後の瞬間まで、生きて、生きて、生き抜いてやる!」
だから――楽観視は出来ない
と、その言葉を皮切りに僕等は光に包まれた
暗闇以外何もない空間に、僕等だけが――光に包まれて、天上へ消えていった