第76章 冒険者依頼(クエスト)、来訪
本人曰く、観光しに来たりもしたいらしい
その時は、堪能できるようエラ呼吸用の耳当てでも
と言って、それに嬉しかったようで快諾してくれたが…
実は、肺呼吸もちゃんと出来るとのこと…
でなければ地上の話についていけてないし、言葉も古代語のままだったろう
共通語を話していた時点で察して欲しかったが…深く言及することは控えておいた
テロップ『言われずとも察していた』
互いに国交を持ち、輸出入をすることにした
地上のものも、国交がないままでは限度があった為、困っていたのだという。
こちらもこちらで深海には面してはいなかった為、是非とも欲しい!との熱望もあり、恙なく進んだ。
が、地上人に知らせることはしないとのことだ…
精々英雄譚には、載るとしても…
亜種のリヴァイアサン騒動とガノスぐらいだろう
この日、夜汽車が生まれた
ケイト「水陸両用になったの!?魔導列車!!」
「魔術式を改造しました!アルテナが」
水陸両用、線路も無しに走れるようになったという…
フィン「ふふっ…
どんな未来が待っているのかな」微笑
興奮混じりにはしゃぎ合う光景を前に、僕は笑った
フィン「^^」
ガモスもまた、幸せそうに、開放的な海の中を自由に泳いでいた。
一方ムー連邦、エルは…壁画を見ていた
純白に光輝く力を携え、額に太陽の紋章を負った女性が、蛇を踏みしめ、両腕と両手を左右に大きく広げ、光を与える
聖母の象徴
蛇とはリヴァイアサンの暗示、光とは…この差すようになった日差しのことだろう
眩いばかりの日差し、暖かな温もりに、目を細め
雫に片足を立てて跪き、祈りを捧げた
エル「神よ―此度の出会いに、感謝します
ありがとうございます」
キラリと、雫が答えるように一層強く光った
一瞬だけの変化を、エルは見逃さなかった
これも――神の思し召しなのだと
どうか――
どうか――――――
いつか、いつの日か、僕達の子孫が…当たり前のように、笑い合えますように――――――――
遠い昔から続く、地上人と海底人の諍い…その終止符が、いつか訪れることを――始祖神の涙の前で、エルは膝を折り、祈りを捧げていた
始祖神の涙は何も言わず…キラリと、静かに輝きを強め、笑って見守っているように感じた
確かな、『温もり(愛情)』と共に――