第76章 冒険者依頼(クエスト)、来訪
始祖神『何でも思い通りになったら、何の意味も無いでしょう?
思い通りに行かないから、試練なの
だから意味が発生するの
誰か一人の思い通りにばかりにしてしまえば、あっという間に学びの場は崩れる
それが癌なの
現実はもっと厳しいよ
そうでないと、学びにもならないんだもの
人も、世界も、思い通りにする為のものではないの
自分一人だけの為のものではないの
だからこそ…愛おしいの
それを理解せず、他の在り方の自由を奪い、自らの正当性を訴え、正当化を求め続ける
そんな学びの無い、堕落した魂になってはいけない
そういう戒めとして…伝えていきなさい
癌になりそうな人を、助けてあげて
無理なものからは、すぐに離れて避難しなさい
逃げて
逃げていいから、無理をしないで
無理を一方的に押し通せば、癌の一線を越えかねないから…
越えてまで助ける必要性は無いのよ
いいわね?』
ケイト「わかった…
わかったよ…神様
私がまだ…この世にいるのは……
まだ…役割があったんだな」
始祖神『あるのよ
だから…生かしているの
生かされているの
それがわかっているあなただから、大事に、想うのよ
より一層、強く…守りたいと思うの
一つの形に、とらわれないようにね』ケイトの頭を抱き締める
ケイト「ああ…
わかった
2番目からさ…
お母さんが、姉ちゃんの後に産むはずだった人にさ…
「お母さんを守って」って、頼まれたんだよ
だから…産まれてきた、のにっ…(ぽろっ)
何で…私だけ…まだ、生きてんだって…
お母さんは、一つの形に拘らないでって、生きてることだけが全てじゃないって。
それよりも、『想い』を守っていって、って…だから、私っ」ひっく
声を詰まらせ、つっかえながらも、言葉を紡ぐ
ケイト「生きてていいのかわかんない
生きてる意味がわからない
お母さんに、お姉ちゃんに、生きてて、欲しくて
大事な、一番っ、人、みんな」ひっ、えっ←しゃっくり
ぽんぽん
依存だね…
泣きじゃくるケイトに、僕は頭を撫でた
それなのに君は…いつも、自分の傷よりも、人の傷を、痛みを、苦しみを、少しでも減らそうとする。
自分の傷も、痛みも、想いも、無いものとしたまま…
だから危ういんだ…
その献身さが…いつか、君自身を、殺しやしないかと……