第13章 結婚式と初デート
自分が招いたことだ。
抵抗しなかった。結果として再び全て失った。奪われた。
それでもまた、失意のどん底を知るから…
記憶が失うほどのそれを味わったから、余計にじっとしていられなかった。
「はっ。何かと思えばヘレイオス街の生き残り、英雄様かよ。
起こった当時には助けようともしなかったくせに。
てめえが引き起こしたことなんだろう?
てめえが最初にくたばっちまえばよかったのによお」
ピクッ(フィンの眉間に皺が寄る)
ケイト「そうだな。死んでしまいたかったよ!
でも死ねないんだ。
精霊の寵愛を受けたこの身体じゃ、勝手に治ってくから!
あの当時は記憶が飛んでいた。それも唯一の家族を、その街の人に殺されてだ。
モンスターが地上に出てくる前に、私は全ての記憶を失った。
身体に宿った精霊に導かれるまま、オラリオまで来た。
取り戻せたのは、入った先が…その家族みたいに、最高の人達だったからだ!
でもなあ…どんだけ奪った人達でも、見捨てておけないんだよ!
あんな痛みを味合わされたから、あの苦しみを知っているから!放っておけないんだろうが!!」
涙がふいに頬を伝って床へと零れ落ちていく。言っていて、涙が止まらなかった。
非難するような鋭い眼差しが男へ集中する。
子「お姉ちゃん…大丈夫だよ。
怖かったけど、大丈夫だよ?」なでなで
ケイト「っ…ごめん。ごめん…心配かけて、ごめんな;」ぼろぼろ
子「私は大丈夫だよ?だから、泣かないで。
ありがとう、お姉ちゃん^^//」
ケイト「っ…(ぼろぼろ)
…ありがとう」ぎゅうっ
背を撫でられる中、振り返ってから言うと満面の笑顔を向けられた。
街に帰ってからも出会えなかった育ての家族の皆、シルキーと重なって…
涙が止まらなくなって、気付けば抱き締めながら礼を言っていた。
フィン「さて…僕の妻を泣かせた報いぐらいは受けてもらおうかな?」
「げっ!勇者!?
って妻!!?;」
フィン「ああ。
つい先程、正式に嫁入りしてもらった所だ。
通行の邪魔だということはわかる。
だがそれはケイトが先程言ったように避けて通れば問題はないはずだ。
君の失敗は、言葉が過ぎたこと、自らの避けるという行動を怠った点だけだ。
それだけで済んでいればちょっとした注意だけで済んだものを…」溜息
「ひっ;」たじっ