第74章 融和
ケイトが動かなければ始まらなかった
ケイトが、
癌の魂を、そこまで想わなければ、幕は上がりさえもしなかった
人の為に動く彼女だから、
誰一人として欠かせたくないと願う君だから、
誰かを不幸にしてでも捻じ曲げないもの、それがケイトだから――始まったんだ
見捨てる選択だってあった
が…決してしなかった
急に消される側に立って、
そうなった時、他人事で接されたくはないだろう、真剣に考えて欲しいだろう、
原因解明に乗り出して、一緒に生きられる道を模索して欲しいだろう
そう考えて、その想いが捨てられず、自分と大事な人達だけは大丈夫だからと楽観視出来ず…飛び出していってしまった……
その時のケイトの気持ちが、僕達は痛い程わかる…
誰もいなかった――
助けてくれなかった――
だから――放っておけないのだと
同類になりたくはないのだと、
それよりも、何よりも、そんな想いをする人を、笑って、見過ごすこと等出来ない、嫌だ、
力尽くで消されるのを、安全圏から高みの見物等、僕達としても不本意だし、わかっていてすることが嫌なことに変わりは無かった
ベル・クラネルの、沢田綱吉の、彼等癌の魂の立場に立って考えた
急に何もわからないまま消される、そんな想いは味わいたくない
その想いに、寄り添っていた
防げるのなら防ごうとした、たとえ――悪だと、敵だと、言われ、扱われようとも
必死に悪い点を暴いて、整理していった
「癌」とは、全てに悪い影響を及ぼすもの…
すなわち――「癌化の『鍵』」は、「悪い点」の中にあるから
本当に…大事に想うものとして――悪い方へ向かっているそれを応援するのではなく、助け出す為、それだけの為に、身を投じた――――自らも消滅の危機を伴う戦いに
それを――
悪口を言っているのだから同じく言ってもいいだろうと好き勝手に言い出すわ、勝手に秤にかけるわ、やりたい放題するわ…
人の浅はかさを見た
主観的な感情で目を曇らせ、勝手な解釈や価値観で意味を歪める人達だから地獄落ちになるし、
『大事なもの』が何なのかもわからず、見れないから、容易く歪められて巻き込まれ癌化する。
ケイトは、意味もなくする人ではないのに――勝手で歪め、勝手に扱った
『明確な指標』もないまま癌化を避けること等――不可能なことだというのに