第74章 融和
しかし――この出来事こそが、これから始まる建国神話に続くものだった
これは、まだ序章でしかなく…始まりに過ぎない
そんな予感が、強くし、親指が疼きを上げた
これから何が起こるのか、まだわからない――
辛いものだった
(泣きじゃくるケイトが脳裏に浮かぶ)
唯一の、どう転んでも守れないものだった
だが、それでも諦めないで、君は立ち上がった
同じものを決して出させない、と――
先を見据えて
その凸凹ごと愛している
たとえ存在してはいけないものであったとしても、好きだから守りたい、と
そう笑う君に…
そんな、愚直なまでの馬鹿な君に…
僕は心底惚れた、本当に…守りたいと思えた
重婚者は―そんな想いを同じくして持つ『同志』だ
だからと言って、癌のように自己中に走らせたりも、暴走させる気も微塵もない
勿論殴ってでも止めるし、実力行使も辞さない覚悟だ
本当に大事なものだから――互いが困らないように、真に幸せでいられる未来を歩めるように…
前へ向けて共に走り合い、笑顔で互いを見つめ、空を飛翔する
『融和』はなされた――
ありとあらゆる種族が立ち上がり、一丸となって纏まり、
横暴を尽くし、罪を着せて回る、正義を騙る暴走集団を、
それを見ていた原初の神々が、自らの手で、力で、始末した
これが、新たな時代の幕開けとなる……
古代――精霊が神々から遣わされて降臨したことにより、古代の英雄が産まれ
英雄時代――創作されたアルゴノゥトにより鼓舞された者達が、英雄として立ち上がり
神時代――英雄アルバートの死により、天界の神々が降臨して英雄を続々と生み出していった
そうして始まるのは――
新たな『力』に目覚め、
互いに『意思』を重ね、束ね、
『創世神の力』を顕現させ、
『原初の神々』により、『神器』を授かった―
『あの世とこの世の仕組み』という教えを賜り、その普及により始まりを告げる時代
『融和時代』――
己の言動に危機感を持ち、責任を持って果たす
各々が尊重し合い、助け合う、真にわかり合う時代を――
その道から外れるものがあろうとも、それごと受け入れ、認め合い、愛し合い、互いの為の幸せを根差す、そんな『至高の時代』を―――
たとえ争いがやむことはなくとも、『誰もが欠かせない存在』だと――